第8話 ''ごめんね''が言えるなら

―――葵葉side


 オレは昔から彩葉に謝りたかった。

 つい、キツくあったってしまったことを。

 早く謝らなくては、謝らなくては、と思っても彩葉は家から出ていってしまったし、探しても探しても彩葉は見つからない。


 だがつい最近、紬と翔音からオレの妹らしき人物がいた、ということを聞いた。


「その人は、なんという名前だったのか、?」


 オレは二人に向かって尋ねる。


「彩葉」

「…!」


 紬はオレの妹の名前を出す。


「でもね…僕がその子に葵葉くんの妹じゃないのかい?と聞いても、違うと言うんだ」


 まあ、あんなことをしたオレだからそれはそうなるよな。


「彩葉なんて名前何処にでもいるだろうし、やっぱり人違いじゃ…」


 いや、妹の可能性は存分に有り得る。


「ふむ…では髪色や瞳の色はどうだったんだ?」


 オレは続き質問をする。


「嗚呼…葵葉くんにとても似ていたよ。だから僕は葵葉くんの妹じゃないかといったんだ」


 なんだと…


「何処で会った!?」


 ひとまず何処で出会ったかを聞く。


「花宮高の通学路と僕と紬の家の前ら辺で出会ったよ」

「2回もか⁉」


 2回も…これは結構有力情報じゃないか?


「普通に花宮高の生徒だけど…でも、彩葉さんは葵葉に会いたくなさそうだった」


「…やはりそうだったか、」


 多分、オレは嫌われているんだろうな。


 よし、明日花宮高を探してみるとしよう。



 ―――翌日


 放課後。

 オレは花宮高をくまなく探したが、彩葉は見つからなかった。


「もしかしたら学校に来ていないという可能性もあるからな」


 諦めずに明日も探すとするか。

 そうだ、帰る前に校庭をもう一度探すとしよう。

 彩葉が帰りで校庭にいるかも知れない。

 そういえば、彩葉は何処の家に住んでいるのだろうか。

 家もない状態だったらどうしようか…


 そんなこんな真剣に考えていると、


「小鳥遊、危ない!」


 部活をしていた運動部員のボールが此方へ向かって飛んでくる。


「いだっっっっっ⁉」


 はぁ…


「もう少し周りを見てやれーーー!」

「ごめんごめん…大丈夫か?」

「まあオレは天才だからな。このくらい…」

「すごい痛そうな顔してるけど」

「く…はあ、一人で保健室に行ってくる…」

「いてら〜」


―――保健室


「先生はいないのか…」


 生憎今は保健室の先生はいないようだ。

 だがその時、


 ギギギ…


 と音がした。


「?誰かいるのか?」


 ベットが軋む音だろう。


 オレは誰がそこにいるか確かめる為、カーテンを開け、ベットの方へ向かった。

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