第5話 信用
放課後。
私は沢山積まれた課題を手に持って帰り道を急いだ。
「うう…あの先生め…なんてことしてくれてるんだ…」
カバンに入らない程の課題を持たせてきたんだよ⁉
重いな…
「手伝うからよ…もうちょっと早く歩いてくれ…」
「うん、早く持って!レディーにこんな思いもの持たせて…先生許せない…!」
「はいはい」
「あっ、これだけの量ひとりで一ヶ月以内に終わらせるのはだいぶ難しいから、手伝ってよね!」
「わーったから黙れよ…うっせーな」
湊とあーだこーだ言っていると、誰かとぶつかった。
「あ…えと…ごめんなさ…っ」
私はすぐさまぶつかった人の方を見上げた。
え…背高あ…
180はある、よね?
「おっと…こちらこそぶつかってしまってすまないね。僕は
「え?」
「いや…人違いだと申し訳ないんだけど…もしかして君、苗字が小鳥遊だったりしないかい?」
……
自分で「一ノ瀬」と名乗っても、実質上私の名前は「小鳥遊」。「一ノ瀬」は湊の苗字だから私の苗字じゃない。
だけど、私の知り合いにこんな巨人、居たっけ…
「えっと…」
私が戸惑っているところに、
「あ、綺月センパイじゃないっすか」
湊が入ってきた。
どうやら湊は綺月さんのことを知っているようだ。
「お、一ノ瀬くんもいたんだね。今この子の苗字が小鳥遊じゃないか、という話をしていてね。」
「……そいつは、俺の兄妹っす」
え…
「おや?そうなのかい?葵葉くんに髪色も瞳の色も似ていたからてっきり葵葉くんの兄妹かと思ったよ。」
葵葉…聞くだけで気持ち悪くなってくる。
「葵葉くんは兄妹が一人いなくなってしまったようでね。その子かと思ったんだ。」
「人違いっすね」
「はい…私は…、一ノ瀬彩葉です。」
「完全に僕の人違いだったようだね。すまなかった。」
すると綺月さんは去っていった。
「ふー…あっぶねー」
「うん…」
「あ゙ー疲れたー早く家帰ろーぜー」
「うん、!」
いつも湊にお世話になってばっかり。
純恋さんにも、お義母さんにも、お義父さんにも。
迷惑も掛けてばっかり。
これからは私がもっと頑張らなきゃな。
そう思って私は家に入った。
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