第4話 いきなりのピンチ

 昼休み。

 私は湊と祥と中庭で昼ごはんを食べている。


「たまには モグモグ中庭でたべるってのも モグモグ悪くねーな」

「湊、喋るか食べるかどっちかにしてくれ」

「へーい」

「あはは、湊ってば行儀悪い〜〜」


 というか…


「やっぱお義母さんの作ったお弁当美味しすぎ…っ!」


 私は湊のお母さんが作ってくれたお弁当を目をキラキラ輝かせて言う。


「美味しそうですね」

「だよね!見るだけでそう思うよね!」

「はい」

「湊もお義母さんに作ってもらえばいいのに」

「俺は購買のやつ食べるからいいんだよ」


 といって購買のパンをかじる湊。

 もったいないなあ。こんな美味しいお弁当を食べないなんて。

 人生損しちゃってるよ。


「あー私呼ばれてるんだった。課題とかなんかで?」

「一緒ついていくか?」

「ううん。大丈夫。素敵なランチタイムを〜」

「気をつけてくださいね」


 私は湊達にひらひらと手を振りながら校舎に入る。


「どうせ宿題がどっさりあるんだろうな…」


 廊下をスタスタと歩いて職員室の方へ向かう。


「失礼します、1年B組の彩葉です。先生に呼ばれたので来ました。」


 …もう私の名前は「小鳥遊たかなし彩葉」じゃなくて「一ノ瀬彩葉」だから。


「はーい」


 担任が駆け寄ってくる。


「なんですか。」


 私はぶっきらぼうに答える。


「課題だ。お前随分と学校に来ていなかっただろう。まあ、大変だろうけどな。」


 先生はそう言うと、どっさっとプリントやノート、やっていないテストなどを私の手の上に乗せてきた。


 えっと…この数ざっと…

 100枚、はあるよね?


 汗がたらっと額から落ちる。


「期限は…一ヶ月だ。それまでに頑張れ。」


 い、い、いい、一ヶ月…?


 一瞬頭が真っ白になって思考が停止する。


「む、無理ですよ…」

「だがこれは絶対やってもらわないといけないんだ。」

「はあ…」


 それだけ私が学校を休んでたサボってたってこと、になるよね。


「頑張り、ます。」

「おう、頑張れ! 先生は応援してるぞ!」

「はい…」


 くっ、友達もできて仲良くなれた学校生活、いきなりピンチに迫るの…!?


 む、無理ぃ〜〜っ!

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