初手悪口はダメージがでかい
「変な匂い」
なんて言葉と共に視界が暗転した。
次に目を開け、最初に目に入ってきたのはとんでもなくでかくて高い木。
周りを見渡しても木、木、木。
様々な鳴き声と不気味な風の音に否が応でも思い知らされる。
「あ、1ヶ月もしたら迎えに来るから」
なんて声が頭に響いた。
こうなったのには訳がある。
それは自主トレにも限界を感じ始めていたある日。
雰囲気があいつに似ていた人に勢いで弟子入りを頼んでしまった時のこと、、、
でも最初の言葉が「なんだモブキャラかぁ」は絶対言い過ぎ。
ある日
「頑張るー頑張るー俺はー頑張るー」
と、口に出しながらとりあえず走り込みをしていた。
住んでいるの雨がよく降る場所なので、いい感じにぬかるんでくれて負荷が高まってくれる。
対人戦において、最も必要となるものは筋肉の最大出力を持続させることの出来る体力と冷静な状況判断、そして一瞬の決着を自分のものにできる反射と集中力だと言うのが持論である。
まあ、前ふたつはマストであって、あとのものはほかの「平凡」と差をつけるために必要なものダが。
と、言うのもそれだけで圧倒的な強さを持っていた男を知っているからだ。
学年最終順位3位。
場合によってはランスに剣を届かせることが出来る男。
「人類の最高傑作」
デウス
ただの農民がそこまで辿り着けたのは本当にすごいと思う。思っていた。
この世界、嫌な言い方をすると「血統」が全てだ。
貴族とかは長い間受け継いできているそいつらだけの魔法がある。
「鎖」と呼ばれるものだ。
青い炎を半永久的に出せるだとか、地面を自由自在にできるだとか。
そんな奴らに身一つで立ち向かい、そして勝ち尽くしくらい尽くしたのがデウスだった。
最後は裏切ってしまうのだが。
魔女。
忌み嫌われる存在。
名前もない、影もない。
のに誰もがそいつのことを知っていて、そいつは一人しかいないのに、世界を破壊尽くした。
そんな奴にあいつは寝返った。
寝返ったというか、元々スパイみたいなものだったらしい。
デウスは魔女が生み出したキメラみたいなもので、卒業前にその自覚を芽生えさせるようにタイマーが着いていたらしい。
そのまま「人類の最高傑作 」から「人類最大の汚点」になってしまい、最後は黒い鎧をまとったデウスとそこにいた魔女がランスに敗れて終わったことになっている。
しかしあの場にいた俺だからわかる。
あいつは裏切ってなんか居なかったってことに。
魔女と黒い騎士。
俺とランス。
まあ戦いの詳細は割愛するが、目にも止まらぬ早さでランスと黒騎士が戦っていて、魔女が魔法を使っている。
俺は外で逃げ惑っていた。
仕方がない
何も見えないのだから。
まあそんな感じでランスも1人だけだったら勝てたのだろうが、黒騎士とまじょ、そして俺を守りながらなのですこしおされはじめていた。
そんな時、黒いのが急に足を止めた。
こんな隙をランスが見逃すはずがなくお得意の全てを貫くヤリで同時に貫いた。
そして黒騎士は最後に残った力で魔女の身代わり人形を剣を投擲して壊したのだ。
それは外で見ていた俺しか知らない。
そのまま鎧が砕け、顔が見えたと思ったら満面の笑みのデウスが涙を流しながら消滅して行った。
まあ、もう手遅れだったのだが。
話がそれた。
つまり何が言いたいかだが、デウスの戦い方を吸収して俺だけのものにし、そのまま足していけばランスに勝てるのではと思ったのだ。
あの場あの時確かにデウスはランスに肩を並べていた。
ランスが息を切らしているところなんて見た事がなかった。
たとえそれが人外のものだとしてもあの戦い方は、、、なんて考えながら剣を振っていた。
走り込みだけだと疲れきらない。
10歳になると剣が持てるようになるので素振りをしていた。
すると、勢いよく振った時に手からすっぽ抜けてしまった剣が前の茂みに吹き飛んで行った。
手が疲れてきて、握れなくなるまで振る、そしたら休んでまた振るというバカみたいなことをしている俺にとっては日常のことだが、その日は違った。
「ひゃぁぁぁ!」
その声を聞いた瞬間、俺は走った
もしかしたら誰かに刺さっているかもしれない。なんて
そう考え、茂みをかき分けながらおくに進んで行った時にそれはいた。
真っ黒い目
最初に抱いた感想がそれだった。
「なんだぁモブキャラかぁ」
あーはいはいそういう感じね
「絶対言い過ぎ。」
「あと君、動きの理想が高すぎて着いてこれてないよ。
その動きは主人公じゃないとできない。」
「え?」
何だこの失礼な人は。
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