エピローグ(完結)

あれから、あっという間に1年の月日が流れました。


カイル元皇王は、フレイム討伐のおりにシオンを守って亡くなった事になりました。

その変わり、ルーク皇王が、代わりの戸籍を用意してくれて、イージス辺境伯の『婿養子』として迎えいれる事になりました。


まだ先の話ですが、兄のペルセウスは領主より植物学者として道を目指しており、領地はカイルと私に任せて、新しい薬草の栽培に力を注ぎたいという事になりました。当面は元々あった男爵位を受け継ぎ、我々の補佐として領地を発展させる事を選びました。


元々辺境で生まれた兄ペルセウスは権力には執着がありませんでしたし、植物学者の師匠と共に上級薬草の栽培成功に貢献した事で、その道を進みたいということです。私も申し訳ない気持ちもあるので、王都には余り行かず、辺境の地でカイルと共に暮らしていく事を選びました。


「シオンお嬢様~!お呼びに参りました」


守護精霊アリエル様は、あれから少女まで成長し、シオンの侍女見習いとして仕えています。


「アリエル様、私などに仕えなくてもいいのですよ?逆に私が貴女様に仕えなくてはならない立場なのに…………」


少女姿のアリエルは無邪気に笑いながら言った。


「シオンといると楽しいから♪これからも子供達や孫達まで見守るわよ」


などと無邪気にいうのだった。


学園も再開し、留学という名目で避難させていた貴族の子供達も戻ってきた。フレイム討伐には被害が軽微だったとはいえ、数百人規模の死傷者がでていた。その殉職した遺族達には充分な保証を当てて、イージス領の平地の激戦の跡地には慰霊碑が建てられた。


フレイムの討伐を忘れない為である。


今、思えばアリエル様もフレイムの封印に、この地に縛られてこの国から動けなかったのもあるだろう。自由になったアリエル様はシオンのメイドとして生き生きと過ごしている。


あれから失恋したルイン王子は周囲の勧めもあってスピカ令嬢と婚約した。スピカ令嬢は元々ルイン王子を好いていたし、ルイン王子も国の為に行動できる方だ。まだ愛情はないが、国を富ませたいと言う想いは同じで、戦友や親友といった感じで、少しずつ仲を深めているらしい。


イオン皇女は、まだ学生の身ではあるが、隣国にまで演奏の依頼が舞い込み、ピアニストとして暫くは自由に過ごしていいと許可を貰い活動している。

まぁ、何れは何処か有力貴族か隣国の王族へ嫁ぐ事になるだろう。


サーシャも今後は学園を卒業したらイージス領に移住して、新しくできた精霊教の神官として活動するらしい。貴族令嬢なので家の為に嫁ぐのが普通なのだが、家族皆が敬愛なる信徒の為に許可がでたとのこと。アリエル様が実在すると国中で知られたので、信仰心もすぐに集まるだろう。


カイルの親友であるワイズ様は、私達の子供を見るまでは死ねないと、まだまだ元気に暮らしており、時々、サーシャなど若い神官に教えを説いている。

ここだけの話、ワイズ様も死んだら生まれ変わる事が決定しているらしい。




そして、シオンの事はアリエル様の愛し子と知られている為に、領内の民からは熱烈な支持を受けている為に、静かに暮らすというには騒がしいが───



「シオン、幸せか?」

「ええ、貴方がいれば何処でも幸せですわ♪」


まだ先の話ですが、二人はおしどり夫婦として、国の為に、イージス領の発展の為に尽くして、騒がしくも幸せに暮らしたということです。



【END】





☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★

『後書き』

最後までお読み頂きありがとうございました。

連載当初は100話を超えるほど長くなるとは思っていませんでした。


できれば、学園篇でもう少し恋愛のドキドキ感をだして、恋のライバルを増やしたかったのですが、カイルとの想いを貫き通すという意味で、サラッと終わらせました。


現在、またファンタジー小説を執筆中なので、また次の小説でお会い致しましょう。









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【連載版】ヒロインは元皇后様!?〜あら?生まれ変わりましたわ?〜 naturalsoft @naturalsoft

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