激闘!

真っ直ぐに飛んできたフレイムは、直前で大きく旋回した。


「こちらの攻撃に気付いたのか!?」


フレイムは旋回しながら、口からブレス……………違う!?


火炎弾をボンッボンッボンッ!と放った。


各部隊に放たれる火炎弾に結界魔法で防御するが───


ドガッーーーーーン!!!!!


「うわァァァァァァあああ!!!!!」


一発で結界が破壊され、外れた火炎弾が地面を燃やした。せめてもの救いは、同じく部隊に連続で放たれなかったことだ。何とか被害は軽微である。


「軽く放つ火炎弾でもこれだけの人数が放つ結界を一撃で粉砕するのか……………」


呆然と旋回するフレイムを見守る中で怒号が響いた。


「何をしている!!!!届かなくてもいい!!!弓隊!一斉掃射!!!!!」


ハッ!?と我に返ると慌てて弓隊が矢を放った!


「よし!第2射は良く狙え!号令と共に発射せよ!」


声を上げたのは騎士団長ガープである。

今は将軍の地位も担っている。


最初の矢はほとんどが射程外ではあったが、それはフレイムの牽制になったのと、兵士に活を与えるものであった。


『マズイ。火炎弾でこの威力だと?もし本気の『ブレス』だと防げない。密集しているせいで被害が増えるな』


フレイムに対して結界を張り直してはいるが、防ぎきれなくなってきている。


弓矢はフレイムにある程度命中しているが、全てが硬い鱗に弾かれており、ダメージを与えられていなかった。


『くそっ!せめて1度でも地面に降りてくれれば……………』


フレイムも警戒しているのか、弓矢が届くギリギリの空中を飛んでおり、ダメージを与えられる魔法が届かない距離なのだ。

まぁ、そのおかげで、火炎放射機のようなブレスも放てないでいたのだが。


そんな時であった。

『音楽』が聴こえてきたのは。


「なんだ?」

「これはイオン様!?」


少し離れた場所で、イオンとシオン、がグランドピアノを2台で弾き、スピカとサーシャがヴァイオリンを弾いて、演奏していた。


「まったく、私まで演奏するなんてね」


サーシャは笑いながら言った。


「でも、本当に効果があるんですかね」


演奏しながらイオンが不安そうに聞いた。


「さぁね?でも、アリエル様が言っていたのよ。フレイムを昔、封印した時に今より魔法も武器の質も発達していなかった時代、フレイムを『鎮魂歌』で弱体化させたってね」


この演奏は風の魔法で、遠くまで届くようになっていた。


「兎に角、今は信じて気持ちを込めて演奏しましょう」


「「はいっ!!!」」


演奏の音が周囲を包んだ。







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