第34話 邪竜逃走
N
優志
ゴマ
ソアラ
ソール
ムーン
マーズ
マーキュリー
ヴィーナス
ミランダ
パンデミール
優志「来てください! 守護神……
N
桃色の空から、唐獅子のような神獣の姿が出現。瞬く間にエメラルドグリーンの光に包まれると、ライオンをモチーフにしたロボットへと変形、荒野へと着地した。
ロボットと化した“夢幻獅子”は高速で大地を駆けながら、両目の部分からエメラルドグリーンに輝くビームを邪竜パン=デ=ミールの頭部に向け発射。
ビームが炸裂、立ち上がろうとした邪竜パン=デ=ミールの目が潰され、邪竜パン=デ=ミールは再び土煙とともに荒野に倒れ込んだ。
優志「夢幻獅子! 合体です!」
N優志の叫びに呼応するように、夢幻獅子は突如変形を始め、胴体が2つに分裂。
2つのパーツは、スーパースター・マジンガの肩の部分に飛来し、合体。残された夢幻獅子の頭部は、スーパースター・マジンガの胸部へと合体を果たした。
何も知らないソールたちは、口をポカンと開けながら優志の方を見ている。
優志「【スターマジンガ・キングオブビースト】!」
N優志は無意識に、パワーアップしたスーパー・スターマジンガの名を叫んでいた。
優志の脳内に、スターマジンガ・キングオブビーストの操作法が次々と浮かんでくる。
優志「ソールさん、席、代わってもらえませんか」
ソール「あ……ああ」
N星猫戦隊コスモレンジャーのリーダーであるソールでさえ、何が起きているのか分かってないようだ。ただただ、優志の言葉に従うしか出来ないでいた。
ゴマも、他のメンバーも、思わぬ展開に言葉が出ないでいる。
コクピットの真ん中の操縦席に座りシートベルトを締めた優志は、初めて触れるとは思えぬ手つきで、目の前にある無数のボタンとレバーの操作を始めた。
優志「行きますよ!」
Nスターマジンガ・キングオブビーストは地響きを上げながら、態勢を立て直そうとする邪竜パン=デ=ミールの元へと歩みを進めていく。
パンデミール「おのれ、邪魔はさせぬ……」
N邪竜パン=デ=ミールはそう口にすると、大きな翼をはためかせ、飛び立った。
巻き起こる突風をもものともしない、スターマジンガ・キングオブビースト。
優志はレバーを操作し、飛行する邪竜パン=デ=ミールの腹部に照準を定めた。
優志「【プラネットキャノン・
Nそう言い放ち、操作盤のボタンを押すと、スターマジンガ・キングオブビーストの胸部にある夢幻獅子の口から、7色に輝く極太のレーザーが放たれた。
見事、プラネットキャノン・
ソール「ま……優志くん! 言っておくが、殺さないようにな! 正気を取り戻させるのが目的だ! だから動きを止めるだけにしておいてくれ……!」
優志「はい、分かってます! 後はもう一度“トランキライザー・ビーム”を……あっ!」
N気付いた時には、邪竜パン=デ=ミールが居た場所に、大きな穴だけが空いていた。
邪竜パン=デ=ミールは穴を掘り、再び地中深くへと姿を眩ませたのである——。
♢
N“邪竜パン=デ=ミール”は地中深くへと逃走してしまったので、星猫戦隊コスモレンジャーは一旦、仮設基地へと帰ることとなった。
仮設基地の会議室で、ライムが作った魚のスープを食しながら、今後どうするかを話し合う。
優志「すみません、私が勝手な行動をしたばかりに……」
N
ソールは首を横に振り、言葉を返す。
ソール「優志くん、謝ることはない。優志くんがいてくれなければ、今頃“邪竜パン=デ=ミール”は街中でウイルスを撒き散らし、大変なことになっていただろう」
ムーン「優志さんの守護神、夢幻獅子……。その力、とても驚きました。また力を貸していただけるよう、是非ともお願い致します」
Nソールとムーンはじめ、星猫戦隊の面々が、優志に向かって頭を下げる。
ゴマもソアラも優志の活躍を認めたらしく、素直に頭を下げていた。
しかし、すっかり疲れた顔になっていた優志は立ち上がり、申し出る。
優志「すみません、あまりに色々あったためか、少し疲れました。一度、家に帰ってよろしいでしょうか」
N部屋に帰り、何もせずベッドでゴロゴロしたい。好きな音楽を聴きながら、何も考えずに過ごしたい——そんな心の訴えは、無視できない。
ソール「もちろんだ。戦士には休息も大切だ。優志くん、また元気になったなら、いつでも復帰を待っているよ」
ムーン「ありがとうございました、優志さん」
マーズ「お前の強さ、しっかりこの目に焼き付けたぞ! またな!」
マーキュリー「も……もう帰っちゃうの……?」
ヴィーナス「フン。気が向いたらまた戻って来なさいよね」
Nソール、ムーン、マーズ、マーキュリー、ヴィーナスに見送られながら、玄関へと向かう。
ゴマ「優志、絶対に“邪竜パン=デ=ミール”をブッ倒そうぜ」
ソアラ「優志ィ! 頼りにしてるぜェ!」
Nついてきたゴマとソアラに、背中をポンと同時に叩かれた。
優志「ありがとうございます、ゴマくん、ソアラくん。こんなこと言っちゃなんですけど、あなたたちと一緒に戦えて、楽しかったです。必ず、新型ウイルスを終息させましょう!」
Nゴマとソアラ、それぞれの肉球をプニッと押してから、仮設基地の玄関の扉を開いた。
♢
優志「ミランダさん、来て下さい。私の部屋まで、ワープさせて下さい!」
N桃色の空に向かいそう言うと、金色の光に包まれながら風の精霊ミランダが姿を表した。
8の字を描きながら、舞い降りるミランダ。
ミランダ「優志くん、お疲れ様。優志くんのお部屋にワープゲートは繋げられるんだけど……、ちょっと問題が発生したのよ」
優志「問題……ですか」
ミランダ「うん……。実は、ワープゲートに魔王の力が干渉していて、時間調整ができなくなってるの。だから例えば、今からお部屋を出発したその日に帰ったりは出来ないの。今から帰ると、お部屋を出発してから経った時間と同じ時間……まる1日ぶん、経っていることになるわ」
優志「魔王の力が……!?」
ミランダ「幸いなのは、今のところ時間調整が出来ない以外は、問題なくワープは使えるわ。でも……今後もしかしたら、ワープ自体がもうできなくなる、なんてこともあるかも……」
Nワープが使えなくなるかもしれない——。
帰るのを一瞬躊躇ったが、やはり優志の心身は、休むことを必死に訴えかけてきているのは否めない。
休むには、住み慣れた自室が一番だ。
優志「……こんな戦いが続くとは……体より、精神がもたないです……。やはり、帰って休むことにします。ミランダさん、お願いします!」
ミランダ「分かったわ」
N地面に虹色に輝くワープゲートが現れ、優志はためらわずにワープゲートの中へと入っていった。
♢
N無事、優志の住むアパートの一室に帰って来ることができた。
日付は、2月22日。20時過ぎだった。ミランダの言う通り、優志の部屋から旅立ってから、まる1日経っていた。
手短にシャワーを浴び着替えると、迷わずベッドにダイブした。
因みに、星猫戦隊コスモレンジャーとして戦っている間、優志の脇腹の痛みはほとんど無くなっていた。病気が治る時というのは、きっと本人が忘れている時なのだろう。
しかし精神的な疲労が蓄積していた優志は、当面の間は自宅でゆっくりと過ごすことにした。
就寝時、夢の世界に行ったとしても、優志——勇者ミオンは、宿屋のベッドで横になったまま一切何もせず、ただただ夢から覚めるのを待つだけだった。
稲村——僧侶リュカや、ラデクたちに「早く冒険を続けよう」と言われても、とても気力が湧かず、ひたすら寝たふりを続けていた。
それでも優志の精神疲労はなかなか癒えず、何も出来ぬまま、4月を迎えたのだった。
♢
〜STAGE2.猫戦士たちと共に、新型ウイルスのパンデミックを阻止せよ〜——Not Cleared……
Next Stage——
〜STAGE2.Revenge.猫戦士たちと共に、新型ウイルスのパンデミックを阻止せよ〜
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