第33話 七神合体!
N
優志
ゴマ
ソール
ムーン
マーズ
マーキュリー
ヴィーナス
ソアラ
パンデミール
マイルス
N邪竜パン=デ=ミールが巨大な羽をはためかせると、突風が巻き起こり、縦穴から吹き上げてきた。
ソール「みんな、しっかりゴーグルとマスクをつけるんだ!!」
N邪竜パン=デ=ミールは羽ばたきながらその巨体を宙に浮かばせると、真っ直ぐ上方向に飛び立ち、洞窟の天井を突き破った。
開いた穴から、光が射し込む。
ソール「よし、今こそ【守護機神】を呼ぶぞ! 【守護神アポロ】!」
Nソールが叫ぶと、突如地面が揺れて洞窟の天井が吹き飛び、ソールたちのいる場所からピンク色の空が見えるようになった。
その空から、彗星のように何かが飛んでくる。
白色に輝くそれは——アルファベットのAのような形をした戦闘機へと変形しながら飛来し、ソールたちの近くの地面に降り立った。
ソールに続き、ムーン、マーズ、マーキュリー、ヴィーナス、ゴマ、ソアラも剣や杖を天に掲げながら叫ぶ。
ムーン「【守護神アルテミス】!」
マーズ「【守護神アーレス】!」
マーキュリー「【守護神ヘルメス】!」
ヴィーナス「【守護神アフロディーテ】!」
ゴマ「【守護神アストライオス】!」
ソアラ「【守護神ヘーラクレース】!」
Nすると、ピンク色の空からまたしても6色——紫、赤、青、オレンジ、黒、水色の光が彗星の如く現れ、それぞれ形の違った戦闘機——“守護機神”へと姿を変えた。
守護機神が全て地上に降り立つと、それぞれハッチが開く。
ソール「守護神よ、邪悪なる意志より我々を守り給え!」
Nソールの言葉に守護機神たちが反応、守護機神たちから放たれたカラフルな光が、星猫戦隊コスモレンジャー全員を包み込んだ。
ソール「よし! 守護神の力で新型ウイルスを防げるようになったぞ。さあ、みんなそれぞれの守護機神に乗り込むんだ!」
Nソールの号令で、コスモレンジャーはそれぞれの守護機神へと乗り込んでいく。
ゴマ「優志はボクの守護機神に乗れ! もうマスクとゴーグルは外して大丈夫だぞ!」
優志「分かりました!」
N息を切らしながらマスクとゴーグルを外し、ゴマの守護機神“アストライオス”——オレンジ色のV字形のウイングを持った戦闘機——に搭乗した。
操縦席にはレバー状のハンドルの他、レーザー攻撃用のボタン、トランシーバーなどがある。操縦席の後ろにもう1つある座席に乗り込むと、ベルトを締めた。
ゴマ「行くぞ、優志!」
Nゴマがレバーをグッと引くと、守護機神アストライオスは垂直に飛び上がった。
前方には、他の守護機神が連なるように飛び、その先には空を飛ぶ邪竜パン=デ=ミールの巨体。
ソール『ターゲット、ロック・オン!』
ゴマ「O・Kだ!」
Nソールからの通信に反応し、ゴマがボタンを幾つか押すと、守護機神アストライオスのウイングから砲台が出現、邪竜パン=デ=ミールに向けられた。
ソール『今だ、
ゴマ「
Nそれぞれの守護機神から、白、紫、赤、青、黄色、灰色、水色のレーザーが放たれるのが見えた。それらは邪竜パン=デ=ミールの巨体にヒットする。
雷鳴のような光が点滅し、白煙とともにスパーク。しかし邪竜パン=デ=ミールは攻撃をものともせず高度を上げると、大きく咆哮を上げた。
優志「うわああー!! 耳が壊れそうです……!」
ゴマ「チィッ! 何てデケえ声出しやがるんだ!」
N一瞬、聴力を失ったように何も聞こえなくなり、すぐに激しい耳鳴りが襲った。凄まじい咆哮による空気の振動で、機体も大きく揺さぶられる。
飛行機が若干苦手な優志は、思わず頭を抱えた。
その時、ソールから通信が入る。
ソール『みんな、
Nスピーカーからソールの声が聞こえた直後、突如景色がぐるりと回った。守護機神アストライオスが、変形を始めたらしい。
優志「ど……どっちが上か下かわからないです! 目が回る……!」
ゴマ「
N変形したアストライオスの機体が、他の守護機神の機体と接続されるのが見える。そのたびに響く金属音。激しく揺れる機内。
ゴマ「合体終了だ。コクピットへ案内するから、ついて来い」
N既に、優志の三半規管は悲鳴を上げていた。
ふらつきながら、アストライオスの機内の後ろにある隠し扉のような入り口をくぐる。その先は、優志が屈んでやっと通れるほどの狭い通路が続いていた。
目を回し息も絶え絶えな優志は、ひたすらゴマを追う。
通路を駆け上がり、行き止まりの扉を開けた。そこは7人分の座席があるコクピットだった。ソール、ムーン、マーズ、マーキュリー、ヴィーナス、ソアラが既に座席についている。
フロントガラス越しには赤茶けた荒野の風景、遠くにはニャンバラの街が見える。“スーパースター・マジンガ”の体高は、約10メートルほどだろう。
桃色の空には、翼を広げ旋回する邪竜パン=デ=ミールの巨体。
パンデミール「グォオオオン……小癪な猫戦士ども……」
N咆哮と共に放たれた邪竜パン=デ=ミールの声が、ビリビリとコクピットに伝わってくる。
ゴマ「ボクの搭乗するアストライオスは、ちょうどスーパースター・マジンガの胸の部分にあたるんだ。合体したら、オレンジ色のVのマークになるんだ。それは、
Nゴマが得意げに言った。しかし相手は体長約50メートルのドラゴン。約5倍もの大きさの敵と戦わねばならない。
ゴマ「優志! 狭いがボクの隣に座れ! ベルトも一緒に締めるぞ!」
優志「は……はい!」
Nゴマの隣に座り、シートベルトを締める。ゴマのもふっとした体毛が優志の右頬に密着する。
優志「くすぐったい……ヘックシッ!」
ゴマ「だああ! くしゃみをするな優志! 新型ウイルスとやらに感染してたらどーすんだ!」
Nゴマが前脚をバタつかせながら声を上げた時、ソールはフロントガラスを見たままゴマの言葉に返事をする。
ソール「それは大丈夫だ。守護神のバリアでウイルスは防いでいる! ……よし、邪竜パン=デ=ミールの動きを捉えたぞ!」
Nソールに続き、ムーンが右前脚を斜め上に上げながら叫ぶ。
ムーン「【パラライジング・キャノン】」
Nフロントガラス越しに、スーパースター・マジンガの両指先が見えた。それらは砲台と化し、閃光と共に計10発のミサイルが、邪竜パン=デ=ミールに向けて放たれた。
猛スピードで飛行していくミサイル。邪竜パン=デ=ミールはそれを避ける術もなく10発とも喰らい、白煙に包まれる。やがて邪竜パン=デ=ミールは失速し、地響きと砂煙を上げながら荒野へと墜落した。
ムーン「【トランキライザー・ビーム】」
Nムーンは続けて言いながらコクピットのボタンを押すと、おそらくスーパースター・マジンガの両肩の部分から黄色く輝くレーザーが、倒れている邪竜パン=デ=ミールに向けて放たれるのが見えた。
パンデミール「……無駄だぁ! グォオオオン……」
N邪竜パン=デ=ミールは荒野に倒れたまま大きく口を開けると、口の中が緑色に輝き始めた。次の瞬間、緑色の輝きは光線となり、こちらに向けて放たれた!
思わず目を瞑る。が、スーパースター・マジンガは無事だ。
目を開けると、緑色の光線は“トランキライザー・ビーム”とぶつかり、相殺していた。爆発音が鳴り響き、衝撃がコクピットにビリビリと伝わってくる。
マーズ「油断するな! 来るぞ!!」
Nマーズが叫ぶのとほぼ同時に、邪竜パン=デ=ミールが再び口から緑色の光線を吐き出す! 防御が間に合わず、スーパースター・マジンガは光線の直撃を喰らう。
マーズ「ぐわあああ……!」
マーキュリー「きゃーーーーッ!!」
Nコクピットが火花と白煙に包まれ、激しい揺れが優志たちを襲った。
パニックに陥った優志は思わずシートベルトを外し、コクピットの床に転がり込んだ。
ゴマ「優志、しっかりしろ!」
優志「ぐ……ゴマくん……」
Nゴマの前脚を掴み、どうにか立ち上がる。よろめきながら再び席についてシートベルトを締めると、深呼吸を1つして心を落ち着けた。
すると、マイルスの言葉が脳裏をよぎった。
マイルス『勇者ミオンよ……。そなたには守護神、“
N優志は拳を握りしめた。
優志「そうでした……私にも、守護神がついている……。一か八か、やってみましょう」
ゴマ「優志、お前何言ってんだ……?」
N優志は右腕を上げ、叫んだ。
優志「来てください! 守護神……【
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