第31話 魔王軍三幹部、再登場

N

優志

ゴマ

ソアラ

ソール

マーズ

マーキュリー

ヴィーナス

ヴィット

サクビー

さーしや


N優志まさしが繰り出した会心の一撃は、メタル・ゴーレムソルジャーを瞬く間に粉砕した。


ゴマ「優志、お前もしかしてすげえ奴……?」


Nゴマ、ソアラ、そしてソールたちが揃いも揃って目を丸くする。


優志「あっ! もう1匹来ましたよ!」


N何と、メタルゴーレム・ソルジャーがもう1匹現れ、優志たちの真横を高速で駆け抜けようとしていた。

 今度はソアラが右前脚に力を溜め、2匹目のメタルゴーレム・ソルジャーに狙いを定める。


ソアラ「次はオレがやる。“100万馬力・猫パーンチ”ッッ!!」


N空色に輝くソアラの拳が、メタルゴーレム・ソルジャーの腹部にヒットした。

 金属の破砕する音が響く。一撃で、メタルゴーレム・ソルジャーは粉々に砕け散ったのであった。


優志「ソアラくんも、凄いですね」


ソアラ「オレの“100万馬力猫パンチ”を防げた奴は、未だに誰もいねーんだ! ハッハッハッハ!」


ゴマ「クソ、ボクだって一撃で潰せらぁ! もっと出てこいメタル野郎!」


N悔しげに唸るゴマを他所に、優志は自身の身体に起きた変化に気付き、観察していた。

 右手が白色に輝き、左手がオレンジ色に輝いているのである。


優志「新しい魔法が……使えるようになったようです。……【バースト】!」


N煌々と輝く優志の左拳から炎のような光線が放たれると、洞窟の壁にぶつかり、轟音と共に爆発が巻き起こった。


ゴマ「ニャアッ!? 優志、加減しろ! ビビるじゃねえか!」


優志「すみません、ゴマくん。……あ。今度は、以前使っていた“ドルチェ”がパワーアップしたようです。……行きますよ、【サンデー】!」


N今度は白色に輝く優志の右手から、直径1メートルほどもの眩い光の弾が、洞窟の壁に向けて放たれた。光の弾は炸裂し、瞬間的に昼間のような光が洞窟内に広がった。

 メタルゴーレム・ソルジャーを倒すことで、優志の戦闘能力は大幅にレベルアップしたのである。

 そして、ソアラも——。


ソアラ「うおおおおッ! オレも力が漲ってきたぜー! もう誰にも負ける気はしねえ! 【200万馬力・猫パァーンチ】!」


Nソアラの“200万馬力猫パンチ”が洞窟の壁にヒット。瞬時に壁が抉り取られ、土煙と共に大きな穴が空いた。


ソール「君たち……その辺にしておいてくれ……。洞窟が崩れたら大変だからな……」


優志「あ、すみません、ソールさん」


ソアラ「ああー、悪りい悪りい! アッハッハッハ!」


Nメンバーも増え、星猫戦隊コスモレンジャーをまとめるのが大変そうなソールである。


 ♢


Nさらに洞窟の奥へと足を進めていた時——。

 突然地面が揺れ始め、洞窟の天井から小石がパラパラと落ちてきた。


優志「な、何ですか……? 地震!?」


マーズ「見ろ! 天井が崩れる!」


N激しい揺れと共に、洞窟の天井が崩壊していく。


ソール「退却だ! 急ぐんだ!」


N星猫戦隊コスモレンジャーは全員、大急ぎで引き返した。

 洞窟の前方の天井は完全に崩れ落ち、外の光が射し込んでいる。そして崩れ落ちた天井の上方から、優志が聞き覚えのある声が響いてきた。


ヴィット「クフフフ……やはり来ると思っていた」


サクビー「邪竜パン=デ=ミールの所へは、行かせないビー!」


サーシャ「オホホホ……勇者ミオン。見つけましたわよ。ここでひねり潰して差し上げますわ」


N洞窟は崩れ落ち、地面の上が見えるようになってしまっていた。

 そこから現れたのは、黒い西洋甲冑の足具に包まれた、足。

 ズシンと優志たちの目の前の地面を踏みしめる。


ソール「うわあっ!」


マーキュリー「きゃあああーーっ!?」


優志「あ! ……彼らは!」


ゴマ「何だ優志、知ってるのか!?」


Nそこに居たのは——優志たちのの、魔王軍三幹部——魔剣士・ヴィット、ガーディアン・サクビー、魔術師・サーシャだったのである。

 ヴィット、サクビー、サーシャは、元々のサイズのまま猫の国ニャガルタに現れたため、猫サイズになった優志の5倍もの大きさで出現したようだ。


優志「な……なぜあなたたちがここに!」


N優志は可能な限り大きな声で、巨大三幹部に問いかけた。


ヴィット「クフフ……魔王ゴディーヴァ様の御力おちからにより、。我々が、意図して現実世界を訪れるのも容易たやすい」


サクビー「勇者ミオン、やっと見つけたビー! ここでお前はゲームオーバーだビー! ギャハハハ!」


サーシャ「オホホホ……全ては、王子アルス様と結婚するため……。勇者ミオン! 今ここで潰して差し上げますわ!」


N全身に黒色の鎧を身につけた、長い刀身の剣を持つ人型の魔族——魔剣士・ヴィット。

 球状の身体に、短い足。バネのような右腕の先には、鋼鉄のように硬そうな拳。左手にクリスタルのような材質で出来ているであろう巨大な盾を持つ——ガーディアン・サクビー。

 薄い桃色のドレスを着ており、右半分が黄色、左半分がピンク色のロングヘア、そして同色のオッドアイ。見た目は人間の女性ような姿の——魔術師・サーシャ。


ソール「な……何だ、こいつらは! こんなのがいるなんて聞いてないぞ!」


ヴィーナス「どうするのよ。あんだけ相手が巨大だと、逃げようにも逃げられないじゃない!」


Nコスモレンジャーのメンバーは混乱する。

 その間に、巨大ヴィットの構えた魔剣から、黒色の稲妻が迸る!


ヴィット「喰らえ。我が【魔剣・ザルツブルガー】の必殺技……【ブラック・サンダーショック】!」


N放たれた黒い稲妻。


マーズ「ぐわあ!?」

マーキュリー「いやあああー!!」


N逃げる隙も与えず、マーズとマーキュリーに直撃した。耳を貫くような破裂音が響き渡り、閃光と火花が2匹を襲った。


優志「大丈夫ですか!? ……彼らは、魔王軍三幹部です! 気をつけて下さい!」


N地面に倒れ込んだマーズ、マーキュリーの元へ駆け寄る。


マーズ「ま……魔王?」

マーキュリー「な……なに? 魔王って……」


Nさすがは星猫戦隊、2匹とも体毛が少し焦げたぐらいで、大きな怪我はなさそうである。

 魔王について手短に説明しようとすると、後方からサクビーの大声が響いてきた。


サクビー「邪竜パン=デ=ミールを操っているのは、他でもない、魔王ゴディーヴァ様だビー! ギャーハハハ!」


N大笑いしながら、巨大サクビーは鋼鉄のような拳を振り下ろしてきた!


ソール「危ない!!」

マーキュリー「きゃああーー!!」


N優志はすぐにその場を離れ、マーズ、マーキュリーは咄嗟に体を転がした。

 鳴り響く轟音——。

 岩が砕け、地面が大きく揺さぶられる。


マーズ「逃げるぞ、マーキュリー!」

マーキュリー「うん!」


N2匹は無事のようだ。安堵した優志は、巨大サクビーを見上げて問いかける。


優志「全世界で新型ウイルスのパンデミックが起こっているのも……魔王のせいだったんですか!」


N巨大サクビーは不敵な笑みを浮かべて、コスモレンジャーのメンバーたちを見下ろした。

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