第26話〜武闘家ソアラ〜
N……
優志……
ソール……
マーズ……
ソアラ……
ライム
グレ
————
ソール「
N「優志対マーズの勝負は、見事、優志の勝利に終わった」
マーズ「……クソォ! ソール、もう1回、もう1回だ! 俺がこんなに
ソール「マーズ、これは君のプライドのための勝負じゃないんだ。頭を冷やすんだ!」
N「地団駄を踏むマーズを、ソールは必死に落ち着かせている」
優志(私は負けると言ってきた幻聴は、ハールヤ先生の言う通り、嘘でした……)
N「優志はふうと息を吐き、桃色に染まる地底の空を見上げた。
その時突然——」
ソアラ「おう! やるじゃねぇーか! 人間!」
N「突然、ガラガラ声の何者かが現れ、声を掛けてきた。
見ると——声の主は、白の空手着に黒帯を身に付けた、水色の体毛の猫であった。もちろん二足歩行の、である。
彼は軽々とステップを踏みながら目の前に駆け寄り、自己紹介をする」
ソアラ「オレは【ソアラ】だ! よろしくな、人間!」
優志「あ、はい。私は
ソアラ「ああ! 最近仲間入りしたんだぜ! オレも同じようにマーズさんに腕試しされたんだよなぁ! ま、オレの必殺
N「テンションの高いその猫は、前足をスッと差し出してきた。
戸惑いながら、握手をする。肉球がぷにっと触れる」
ソール「ソアラくんは、最近星猫戦隊コスモレンジャーに加入した武闘家だよ。素早い身のこなしが彼の特技だ。強くて頼りになるんだ。……さあみんな、新しい仲間も加わったことだし、お昼ご飯にしよう!」
N「ソールの号令で、一同は仮設基地の中へと戻っていった。
こうして、優志は正式に星猫戦隊コスモレンジャーへの加入が決定した。
仮設基地の中から焼き魚の匂いが漂ってくる。急な空腹感に襲われた優志は、駆け足で後をついて行った」
♢
ライム「飯が出来たぞ。人間も来たって聞いたから、人間も食える魚料理だ。おかわりはたっぷりある」
ソール「待ってました、ライムさん!」
N「“ライム”——かつてゴマたちの飼い主、愛美に飼われていた、巨体の三毛猫である。花柄の可愛らしいエプロンを身につけ、お盆に幾つもの焼き魚と汁物を載せて、会議室に入って来た。
優志は、ライムに声を掛ける」
優志「あ、ライムさん。海岸で話した時ぶりですね。無事に愛美さんと会えましたか?」
ライム「おお、人間ってお前のことだったのか。……飛田……何だったか? すまない、名前をもう一度頼む」
優志「
ライム「そうか。おめでとう。愛美姉さんにはちゃんと会えたよ。だが、私はこっちでの仕事があるからな。優志も星猫戦隊コスモレンジャーに加入したんなら、私の料理をしっかり食って力をつけていけ」
優志「はい! 美味しそうですね……。あれ? ライムさんの後ろに居られるあの猫は……」
N「ライムの後方にいるのは——ニャンバラでの祝賀会で司会をしていた、神官風の服を着たグレー猫であった。
ライムはその猫の方を向き、答える」
ライム「私の旦那……【グレ】だ」
N「グレは優志に気付くと、ゆっくりと歩み寄る」
グレ「これはこれは人間様。グレと申します。宜しくお願いします。またしても大変な世の中になりましたが、ここは力を合わせ、乗り越えて参りましょう」
優志「はい、グレさん。私は飛田優志と申します。よろしくお願い致します」
N「グレから前脚を差し出され、握手をする。やはりプニッとした、柔らかな肉球が触れる。
ソアラ「おーい! ライムさん、グレさん、優志とやらも! 早く食おうぜー!」
N「ソアラの呼び声。既にみんなは着席していた」
ライム「では、席に着くか。腹も減ったからな」
優志「はい! ライムさんにグレさんも、これからお世話になります」
N「優志含め、星猫戦隊コスモレンジャーのみんなは、ライムが腕によりをかけて作った様々な魚料理に、舌鼓を打った」
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