序2 追放のお人好し②

 半年前、ロッソ村に来る前はとある領使りょうしのパーティの一員だった。リーダーのシュウ・モダトに拾われる形で参加していた。領使になりたての俺に声をかけてくれて、心から恩を感じていた。

 パーティの仲間も優しく接してくれた。俺は子供の頃から他人を優先してしまう性格で、領使になってもそれは変わらなかった。そのせいで足を引っ張ってしまう場面もあった。それでも仲間達は俺を責めるどころか、お人好しっぷりを褒めてくれて、本当に嬉しかった。皆の力になれるように頑張ろう、と本気で思っていた。



 ギルド翠風領すいふうりょうには階級制度がある。上から一級、二級、と続いて五級までの位だ。俺は一番下の五級、現在に至るまで階級は上がらなかった。剣士の癖に剣の腕はからっきし、小型の魔物を相手取るのが限界だった。

 


 対して、シュウは一級の領使だった。他の仲間も俺より階級が高く、俺が入る前は遂行難度の高い依頼を受けていたと聞いた。高難度の依頼を達成すれば、貰える報酬も当然豊富なものになる。

 俺が加入したせいで、依頼の難度を落として受けることになったのに、彼らは寛容に笑い飛ばすだけで済ませていた。有難いと思うと同時に、申し訳ない気持ちで一杯だった。



 その日も、簡単な魔物退治の依頼を受けていた。鼻先の角と黒い毛皮が特徴の『ライノベア』の退治だった。俺も剣士として、前線で剣を振るっていた。幼体ならばどうにか倒せたが、やはりそこまでだ。



「うぐっ!」

「下がれクロト! 火炎砲ブレイズキャノン!」



 シュウは、俺では歯が立たない大型のライノベアを剣先から放つ魔法の一撃で沈めてしまった。上級の火炎魔法を操るリーダーの頼もしさに、打ち震えることしかできなかった。



「立てるかい?」

「大丈夫、流石だよシュウ」

「僕だけの力じゃないさ。なぁ皆!」



 彼の声に、パーティの仲間達は大手を振って応えていた。俺は、また役に立てなかったと肩を落とすばかりだ。



「そんな顔をしないでくれ。クロトも成長しているよ、ほら」



 シュウが小石くらいの魔物の核を見せる。



「ライノベアの幼体の核だ。パーティ入りたての頃だったら、こいつにすら勝てなかっただろう?」

「シュウや皆に比べたら俺なんて」

「誰かと比べなくていい。今の自分の実力を履き違えないでくれ。大丈夫だ、クロトはまだまだ伸び代があるんだから」



 そう言って、シュウは俺の肩を叩いた。気持ちは嬉しかったけど、やはりいつまでも迷惑は掛けられない。焦燥感を覚えながら、拠点のあるエストの街に戻った。




 夜になって、目が冴えて眠れなかった俺は、宿屋を出て街の通りを歩いていた。商店が立ち並んでいて、昼間は人で賑わう場所だ。この時間は打って変わって静寂に包まれている。人気の無い道を、無為に散策していた。

 通りを抜けると、空き家が多い区域に入っていく。月明りもあまり差し込まない場所だから静けさもより増している気がするな、そんなことを考えながらぼーっと歩いていた。



 通りかかった建物と建物の間から人の話し声が聞こえた。こんな時間にこんな場所で何だろう、となんの気もなしに覗いてしまった。

 


 シュウだ。シュウが、フードを被った何者かとこそこそと話していた。



「はい、ご所望の商団が通るルートだ」

「どうも。ほれ今月の分だ、収めてくれや」

「ああ……確かに。いつも悪いねぇ」




 相手は男だった。何の話をしてるんだ、と俺は気になってつい聞き耳を立てていた。



「しっかし、今でも分からねぇな。何だって俺らに狩場の提供なんてしてやがるんだ?」

「なに、ただの道楽だよ」

「はぁあ、おかしな野郎だなオメぇ」

「ははは、まぁ理由はどうでもいいさ。僕も階級を盛るのに、君たち盗賊団を利用させてもらってるんだから。お互い様ってことで」

「ほんといい性格してるぜあんた」



 盗賊団、確かに最近エストの周辺で盗賊被害が多発していた。もしかしてこの男がそうなのか。この話を信じるなら、シュウは盗賊団と繋がって不正を働いているってことになる。

 


 俺は頭が痛くなっていた。そして、居ても立ってもいられなくなって、シュウが一人になったところを見計らって思わず声をかけていた。



「シュウ」

「うわっ! ク、クロト? 何でこんな所に」

「さっきの話、本当なのか?」

「……なんのことだい」

「とぼけないでくれ! 見たんだ、お前と盗賊団の男が話してるところを!」



 そこまで言うと、シュウは溜め息を吐いた。



「そうか、聞いちゃったかぁ。僕も迂闊だったよ」

「……認めるんだな」

「そこまで聞かれてたんなら仕方ないよ。まぁ、できれば知ってほしくなかったんだけどね」



 信じられなかったし、信じたくなかった。恩人が賊に通じて悪事を働いている事実が、俺には受け入れ難かった。



「どうしてこんなことを」

「聞いた通りだよ。道楽さ」

「本気で言ってるのか? 俺達領使は人助けをするためにいるんだ。お前のやってることは真逆じゃないか!」



 頭に血が上るのが分かった。許せない気持ちで溢れていた。もどかしくてどうしようもなくなっていた。そんな俺の姿を見ても、シュウは頭を掻くだけだった。



「まぁ……バレちゃったことだし、大人しくギルドに申し出るよ。最後くらい潔いところを見せなくっちゃね」

「じゃあ今から」

「……そうだな、行こうか」



 観念したのか、言うに違わず大人しくギルドの前まで共に来た。入ろうとした時、シュウが何かを思い出したようにああ、と声を漏らした。



「クロト、今まで一緒に戦ったよしみとして、頼みを聞いてくれないか」

「なんだよ?」

「僕の部屋に道具入れがある。そこに盗賊団との関係を示す証拠が入っている」

「……分かった。お前には恩もあるし、最後に聞いておくよ」

「すまないね」



 少し怪しい気がしたけど、恩義を感じていたのは本当だった。シュウを信じて俺は言う通りに、宿屋まで走って戻った。

 幸いギルド近くの宿屋だったからすぐにシュウの部屋に着いた。机の上には確かにあいつの道具入れが置いてあった。中身を見てみたけど、証拠らしい物は入っていなかった。シュウにしか分からない物なのかもしれない、そう考えてまたギルドに向かった。



 俺がギルドに入った時、中にいた人間全員の視線が集まった。異様な光景に息の飲んでいると、奥からシュウが顔を出して、俺を指を差した。



「あいつだ、この目で確かに見たんだ」

「本当ですかいシュウさん」



 がたいの良い職員の男が俺を見つけると、ずかずかとこちらに歩いてきた。



「な、なんですか」

「クロト・アスカルドだな。聞きてぇことがある。裏まで来い」



 圧に負けて言われるがまま職員の後に続いた。裏の部屋に通され、椅子に座らされる。じろ、と職員は俺を射殺すような視線を向けた。



「お前、盗賊団と繋がってんだって?」

「は? いや俺は」

「事情はシュウさんから聞いたぜ。全く、ぺーぺーの新人がコソ泥の真似事とはなぁ」



 この男は何を言っているんだ、盗賊団と繋がってるのはシュウだ、どうして俺が疑われてるんだ、そこまで考えて気付いた。俺は騙されたのだと。



「違う! シュウだ! シュウが嘘を」

「あーいいってしらばっくれなくても。たまにあるんだ、領使でうだつの上がらない奴が賊に身を堕とすってのが」

「聞いてくれ、あいつなんだ! 俺、見たんだ!」

「はいはい」



 迂闊すぎた。俺が宿に戻ってる間に、シュウは虚偽の報告を済ませていたんだ。厄介なことに、あいつはギルドでも顔を利かせている。発言にも一定の信頼感を持たれていた。対して俺は実力も知名度も圧倒的に劣っている。ギルド側がどっちを信じるのか、と言われたらシュウの方だ。

 なにか証拠でもあれば話は変わってくるのに、それもない。道具入れには入っていないのだ。これでは俺の潔白が証明できない。



 完全に先手を打たれた。俺があいつを信じたせいで。



「とりあえず、お前の身柄はこっちで預かるから。大人しくしてろよ」

「頼む! 話を」

「後でじっくり聞くよ」

「今じゃなきゃ駄目だ! シュウに逃げられる!」

「おい……滅多なこと言うもんじゃあ」

「お取込み中のところ邪魔するよ」



 事件の元凶、シュウが部屋に入ってきた。気味の悪い笑顔を貼り付けて、俺と職員の男を交互に見渡した。



「どうしたんですかシュウさん?」

「いやあ、クロトの処遇について相談があってね」



 どの口が言ってるんだ、喉元まで出かかった。今は下手なことを言うべきじゃないと、ぎりぎりの理性で踏み留まった。



「ってぇと、どうする気ですかい?」

「僕の方でクロトの処遇を決めさせてほしいんだ。これでも、パーティの一員なんでね」



 本当にどういうつもりだ、俺はシュウの考えが分からなかった。騙して悪事を擦り付けたと思ったら、次は助け舟を出したつもりなんだろうか。一体何が目的なんだ。



「うーん、いくらシュウさんでもそれは」

「頼むよ。僕と君の仲だろう?」

「……しょうがねぇ、分かりましたよ」



 そう言うと、職員はあっさり俺を開放した。部屋から出て、俺はシュウを問い詰めた。



「お前、何がしたいんだ」

「うん? 別に助けた覚えはないよ。クロトには罪を被ってもらうからね」



 シュウの顔には普段見せていた優しい雰囲気はなく、代わりに人を馬鹿にしたような下衆な表情をしていた。



「これから噂になるだろうね、賊かぶれの悪徳領使の噂がさ」

「それはお前のこと」

「いいや、クロトだよ。クロトってことになるんだ。おっと誰かに伝えようとしても無駄だよ。僕が真実と言えばそれが真実になる、つくづく信用は築いとくものだね。こういう時にこそ役に立つ、そうは思わないかぁ?」



 含んだ笑い声を漏らす。俺は、何も言い返せなかった。こいつの言ってることは滅茶苦茶なのに、現実はこいつの言った通りだ。あの職員の男がそうだった。こいつは自分の名声を盾に、堂々と嘘を吐いてみせたのだ。



「いやあははは、お前が超の付くお人好しで助かったよ。まさかこんな簡単に言い逃れできるとはね」

「……この、クソ野郎が」

「はははその口からそんな言葉が出るとは、いやあ面白い」



 シュウは場違いな笑い方をした。そして、憎たらしく俺の肩に手を置く。



「本当、助かったよ。礼を言っておこうかなぁ」



 お人好しのクロト君、と言ってシュウは去った。

 俺は目の前が暗転した。文字通り、ひっくり返りそうな気分だった。




 そこからは早かった。

 俺と盗賊団との不正の噂が出回り、俺はエストに居られなくなった。当然パーティからも追い出された。シュウ以外の仲間にも信じられない、と言うような態度を取られた。誰も俺を庇おうとしなかった。

 通り過ぎる街々で後ろ指を差されながら、噂が届かないところまで実質追いやられる形で、ひたすら東へ向かった。



 失意と絶望のまま、俺はロッソ村に辿り着いた。

 これが三か月前に起きた出来事だ。





 俺には夢があった。を果たすために、叶えたい夢があるのだ。



 ギルド翠風領すいふうりょうの階級、一級のその先、文字通り特別な領使に与えられる『特級とっきゅう』になることが、俺の夢だ。かつて交わしたを果たすために、叶えなければならない夢なのだ。



 その夢が遠ざかって、無謀なものに思えてくる。なんのために領使になったのか分からなくなってしまう。そのことが、俺の心を殺してしまいそうになっていた。



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 目が覚めた。寝てはないからこの言い方が合ってるかは分からないけど。寝付けなかったが、眼だけは閉じていたから単に寝られなかった時よりは眠気はない。とはいえ健康には良くない。体にも心にも。



「まただよ……」



 あの日のことを考えてしまうといつもこうなる。しっかり寝ないとな、と思うけどこればかりは自分ではどうしようもない。現状をどうにかしない限りは、一生治ることはないのかもしれない。

 俺が夢を諦めてしまえば、少しは楽になるのだろうか。



「駄目だ止めろ止めろ」



 もう起きたんだ。考えるのを止めろ。今日どう過ごすのかだけを考えろ。まずは、そうだ、朝飯を食べて、ギルドに顔を出して、それからそれから……。



「とりあえず何か食おう」



 買い置きしてるパンに手を伸ばして、思考を改めることに努める。パンも買って三日経つし、そろそろカビてくる頃かもしれない。気を付けないと。




 食べ終えてからギルドに向かった。昨日魔鉱石納品の依頼を受けたから、今日は新規の依頼はないと見ていい。それでも依頼が来ている可能性はゼロではない。だからとりあえず確認だけはしておく。まぁ、日課だ。



「うーん」



 新規の依頼はない。当然の流れだった。それを話題にしてギルドのおじさんと会話に興じる、これももはや日課だった。



「あぁ、おはようございます」

「おうおはよう! 丁度良いとこに来た!」



 おじさんが奥の部屋から出てきたので挨拶をした。いつもならのほほんと挨拶を交わすのだけど、今日のおじさんは若干テンションが高く見えた。



「何ですか?」

「依頼だよ依頼! それも珍しい客からだ!」



 そう言っておじさんは依頼書を見せてきた。内容は魔鉱石の採取依頼、まぁ普段受ける依頼と遜色はない。依頼があることは非常に喜ばしいが、特別騒ぎ立てることではない気もするけど。



「……これが?」

「おめ、見えねぇのか!? 依頼人の欄!」

「依頼人?」



 言われてから見ると、そこには『武器屋 店主』と記載されていた。



「聞いたことない人ですね。武器屋なんてあったんですか?」

「村の外れにポツンとな。誰も利用してねぇらしくてよ、依頼が来たのももう一年振りくらいなのよ!」

「ああそういう」



 そりゃあ確かに珍客かもしれない。そう思いつつ、俺は依頼書に請負のサインを書いておじさんに渡した。



「ああ言い忘れるところだった。一度、武器屋に寄ってから採取に向かってくれ。顔合わせがしたいんだと」

「え? あー、いいですけど。珍しいですね、そんな人」



 ギルドに寄せられる依頼は、ギルドが依頼人と領使とを仲介している。依頼人と領使が直接話す、という例もなくはないのだが、殆どがギルド伝いだ。依頼人から依頼の受注と張り出し、領使からの請負と達成報告をギルドが介してくれる。

 そんな仕組みもあって、こういう事例は中々少ないのだ。



「まぁな。俺も姿をみたことがねぇくらいだしな。珍客も珍客よ」

「なるほど。だからちょっと浮き足立ってたんですね」

「そういうこったな。っと、武器屋はここだ」



 おじさんから簡単な地図を渡される。確かに武器屋は村の外に位置していた。こんなとこに店を構えてることも不思議だけど、必要性の薄い顔合わせを希望する店主だ。きっと変わり者なんだろう。気難しいとか、こだわりが強いとか。



「じゃあ、早速行ってきます」

「おう! よろしくな!」



 そう言って、俺はギルドを後にした。



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 ギィ、と木製の古めかしい扉を開ける。中は明かりが点いていなかった。朝日の光がその代わりを果たしていた。

 例の武器屋に到着して俺は店内に入った。売り物であろう剣やら槍やら、魔導士用の杖やらが乱雑に置かれていた。どうやら繁盛はしていないようだ。薄暗い店内には、人の姿はない。留守だろうか。



「依頼を受けた領使のクロトでーす。誰かいませんかー?」



 返事はない。本当に留守なんだろうか。



「あのーう」

「おーうちょっと待ってなー」

「あ、いた」



 思わず声に出てしまった。まぁ無駄足にならずに済んだ。顔合わせできないと依頼に取り掛かれないだろうし、助かった。

 店の奥からゴトゴトガタガタ音を鳴らしている。しばらくして、音が止んで再び声をかけてきた。



「いいぞー奥に来てくれー」



 声の高さから、店主は女性のようだ。平均的な女性の声よりは低く、ハスキーとでも言ったらいいのか、そんな声色だった。口調も気難しさは感じられない。てっきり厳格で強面の男性がいるものだと思い込んでいたから、少し驚いている。

 奥の部屋に入ると、若い女性が一人机を挟んで椅子に腰かけていた。

 なんというか、全身が黒い。黒い長髪、黒い瞳、黒い服に黒い長靴ブーツ、壁には黒い外套コートが掛けられている、と黒ずくしだ。彼女の肌の白さが際立つくらい黒だった。



「おう、まぁ座ってくれや」

「ああ、どうも」



促されて俺も椅子に座る。向かい合って、黒い店主は俺を見てにや、とした。



「てめぇがクロトか。この村に居つく変わりモンの領使っての」

「……まぁ。色々ありまして」

「かかか、変わりモンってのは否定しねぇのな」



 店主は愉快そうに肩を揺らした。俺からしたら笑い事ではないのだけど、この人には関係ないことだし話す必要はないだろう。



「この村にゃあ、領使の一人もまともに来ねぇからな。どんなツラしてんのか拝んでみたかったんだ。ついでに依頼内容の話もな」

「だから顔合わせを希望されたんですか?」

「まぁそうだな。見ての通り、暇してっからな」

「あはは……」



 武器屋を利用する人間はいなさそうだしな、という言葉は飲み込んだ。



「ここ、今は武器屋だけどよ、昔は鍛冶屋だったんだ」

「あ、そうなんですね」

オレの前の店主が鍛冶師のジジイでよ。そいつにゃ世話になったから跡を継いだはいいが」



 店主は神妙な顔つきになった。というか、ちょっと口悪いなこの人。



オレ、鍛冶ができねぇんだよ」

「……だから近い感じの武器屋をやってると」

「そういうこったな」



 うんうん、と店主は頷いていた。俺は反応の仕方に戸惑った。



「売ってる武器もその辺で拾ったモンだし、そんなガラクタ売れる訳がねぇし、そもそも人来ねぇし。だぁかぁらぁ」



 店主は立ち上がって、部屋の棚を物色し始める。机に戻ってくる店主の両手にはコップが二つと、蒸留酒ウイスキーの瓶が握られていた。



「朝っぱらからこれよ」



 にやり、として店主は俺の前にコップを一つ、自分の前にコップと酒をどんと置いた。



「名乗ってなかったな、オレはヘルだ。まぁ飲みながら話そうや」



 楽しそうに店主、もといヘルさんは俺の目を見ていた。

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