15話今後の行き先は...
「エンリ、ひとまず落ち着こう。深呼吸、深呼吸。」
深呼吸?
「思いっきり息を吸って吐くことかな。これするだけでも気分は少しマシになるよ。」
へぇー。
「やっぱり気になるけど10歳にしては色んなこと知りすぎてない?」
「気のせい。けどフェロウ族か。世の中には知られてない種族あるんだね。もしかしたらエンリの親戚いるかもね。」
そうだね。
「ということで、どこ行く?」
急に話変えてきた。
「えっと、レオマール国かな。」
「理由は?」
「暑いの嫌だから。それにあそこはここの隣国だから比較的涼しいかなって。」
「めっちゃ私的な理由だった。」
別にいいじゃん。
「まぁね、言ってみただけ。さすがに寒すぎるのは嫌だけど。」
南の方だもんね。そういえば
「朔って神獣の定義ってどう考えてるの?一応神獣使いだけど全然会わないから分からなくて。」
「エンリはどう考えてるの?」
「えっと、強大な力を持った魔獣?まあ、神理教では神の使いとか言われてるけど...」
「まあ、そうだね。ワタシが考える神獣の定義は本来の姿は獣で神と同等、それ以上の力を持つものだと思ってる。まだ仮説にしかすぎないけど。」
しっかり考えてるなあ。けどやっぱり...
「気のせい。」
否定された。ちょっと食い気味なの気のせい?
「気のせいでしょ。」
「そうかなー?そういや
「...一応言っとくけどエンリ、月兎族は神獣の中で一二を争う弱さだよ。期待しないでね?」
急に何?
「そう言いながら絶対に規格外なことやりそうなんだけど。」
「それはエンリもだけどね。」
なんで?
「自覚なさすぎでしょ。ワタシが余計なこと言ったせいで話それたけど、月兎族のことだったよね?」
うん。
「ワタシが聞いた伝承では...」
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【月兎族】
あるところに兎、狐、猿がいた。この3匹は大変仲が良く一緒に暮らしていた。
ある日のことだ。倒れているおじいさんを見つけた。3匹はおじいさんのために食料を探しに行った。
狐は魚、猿は木の実を見つけたが兎は何も見つけられなかった。そこで兎は自己犠牲の果てに食べられようとした。
そのおじいさんは神様だったため、それを止め、力を一部譲渡したという。
その兎の子孫が今の月兎族だと言われている。
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「へぇー。その力って?」
「月が出る時間帯に身体能力が上がるみたいなかんじかな?その神様が月を司るからだったらしいけど。使うにしたって反動がすごいらしいから、おいそれとは使えないんだけどね。」
「それにしても出てきた兎すごいね。人のためにまあ、神様だけど犠牲になろうとするなんて。」
「ワタシはこの話好きじゃない。まず、猿と狐はなんで一緒に探さなかったの?仲良いんでしょ。協力した方が早く見つけられるじゃん。それに兎の子が食べられようとしてるのに止めないのおかしい。元々とはいえ神様倒れてなかったら兎の子が自ら食べられようとしなかったのに。力を一部譲渡したからって許されないと思う。」
そういう考え方もあるのか。
「ワタシの考え方は異端だから賛同されないけど...」
少し
「私は朔と話していて楽しいかな?朔は朔なんだし、周りの目あんまり気にしない方がいいと思うよ。」
そういえば人のこと言えない。
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