13話 – 幕間 – 赤牙の指名依頼(オーダークエスト)

「くそっ!どうなってんだ。」

赤牙のリーダー、カズ=アルバンは叫んだ。

まあ、無理もない。指名依頼オーダークエストで依頼されていたグリフォンの子供の捕獲を失敗したのだから。


グリフォンは強かった。風魔法を駆使し見事にあの忌々しい偽善国家お人好しの隣国の方向に飛んでいってしまった。


ーそのグリフォンの子供がどうなったのか。それはまた、別の話である。ー


もしエンリがいたら捕獲できていたかもしれない。しかしどっちにしろエンリはこういう捕獲系の依頼クエストをなぜか嫌がるのでこの依頼クエストは達成できなかっただろうが。


ディーナは

「あいつのせいよ!あいつがちゃんと準備しておかないから。」


絶対に関係ない。そもそも自分たちが追放したくせにいざ自分たちが失敗したらこれである。責任転嫁にも程があるだろう。


「どうする?このままだと依頼主に失敗したことを伝えないといけないぞ?」

「知るか!親グリフォンを殺してまで捕獲しようとしたのに。今更失敗したと言えるのか!」

「いや待て、まだ生きてるぞ!」

「グルルゥー」


目は闘志が宿っている。まだ闘うつもりだ。しかし、体力はもう限界だった。そのまま倒れてしまった。


「おい、ディーナ。このまま回復魔術かけろ!」

「なんでよ!」


カズは何かを取り出す。それは隷属の首輪という魔道具で装着者は魔力を登録した者マスターに逆らえない。そのため奴隷に使用することが多い。また悪用される恐れがあるためこの魔道具は使用禁止.........されていなかった。この国では。というか普通に店舗に売られていた。


「そうか、そういうことか!」

ガードンが言う。

「つまりそいつを依頼人渡せばいいんだな!」

「そういうことだ。」


結局グリフォンは捕獲され、隷属の首輪を装着した状態で依頼人に差し出された。依頼人スダルム=マッカートニーはグリフォンが子供でないのは不満そうだったが手に入ったことで嬉しそうだった。


ちなみにグリフォンはこの国以外では保護対象の魔物の一つとされていて比較的温厚だ。それに人間がきちんと礼儀を守れば親しくなれる。認めて貰えば契約を自らしたいとも言ってくれる。













...しかしだ。








グリフォンは一度やられたことはずっと根に持って覚えている。しっかりと誠心誠意謝れば仲直りはできるがさすがに今回は無理だろう。子供を攫おうとしてなおかつ自分に大怪我を負わせて売ったのだから。


ーもし、このグリフォンがこの状態から抜け出すことになればどうなるか想像できる人にはわかるだろう。赤牙はある意味破滅の道へと歩んでいた...

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