7話ホーンベア

スズさんと別れたあと私たちの目の前にホーンベアが現れた。

「エンリ、勝てるの?」

「うん、大丈夫。私、元Cランクだし。」

これなら普通に倒せる。

「あれ?ホーンベアってBランクの魔物だったような気が?」

なんか朔が言ってるけど聞き取れ無い。せっかく刀ゲットしたし、あれ試すか。

「クスノキ流いんの型みずのと 牙」

ホーンベアの頭を切り落とす。久しぶりに陰の型使ったけどしっかりできてるな。

「グァー!」

断末魔の叫びをあげ倒れた。後ろを振り返ると

「えっ?なんで刀で首切り落としてるの?普通は刀って斬りつけるもののはずなんだけど。それにエンリって水属性だったの?前mu…」

朔が信じられないという顔をして質問してきた。

「ちょい待て。質問多い。」

えーとまさか質問されるとは思ってなかった。どう答えようか。

「朔、私は前言った通り無属性だよ。」

「どういうこと?さっき刀に水属性の付与してたよね?」

「あー、それか。気闘の一種。」

「キトウ?」

「気闘っていうのは魔力と違った目に見えない力で、それを気っていうらしいんだけどその力で闘うすべのこと。さっき私が使っていたのはクスノキ流っていう武術で、気闘を使うことによって擬似的に属性付与ができるんだ。クスノキ流は気闘を使うには一番相性がいい武術だから。」

「へぇ〜。じゃなくてホーンベアってBランクの魔獣だよね?なんで簡単に倒してるの?!」

「えっ?ホーンベアってCランクじゃないの?」

「エンリ、エンリは一回世の中の一般常識学んだ方がいいよ。」

うぐっ。地味に傷付く。けどギルドの人がそう言ってだんだけどな。朔が詳しいのなんでだろう?そう思いながらホーンベアを解体しているとふと気になったことがあった。

「ねぇ、朔。」

「ん?」

「朔って肉食べられるの?」

「無理。まずうさぎは草食だし。兎獣族とはまた別。兎獣族より、雪兎族の方が分類的には近い。」

本当マジか。ホーンベアの肉美味しいんだけど、残念だな。それにしてもこの刀切れ味いいな。ダンジョンに眠っていた武器とは思えない。あのデカさならあと2回ぐらい切らなきゃ無理だと思ってたんだけど。

「エンリ、エンリってば」

考え事してて気づかなかった。

「えっと何かな?」

「この場で解体したのは良いけどどうするの?この量?」

「もう一つのカバンに入れる。」

「へっ?まさか!まさかとは思うけどマジックバッグ持ってるとか言わないよね?」

「だからそれに入れるんだよ。」

元からそのつもりだったんだけど。

「おかしいってば!なんでそんな高級品持ってるの?故郷でもあったら何億セントも値段が付く代物だよ。」

「どうしてって師匠に旅立ち祝いに送ってもらったやつなんだけど。」

「ダメだ。ワタシの常識が通用しない。エンリもエンリだけどエンリの師匠も規格外だった。」

朔ひどくない?

「これはエンリがおかしい!」

心外だ!

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