6話 – 幕間 – エンリ=ヒョウガ追放あとの赤牙

☆カズ=アルバン視点

「なぁカズ、いくら何でも追放しなくてもよかったんじゃないのか?」

そう赤牙のタンク役の重戦士ガードン=ナハマエルが言う。しかし僕は否定する。

「いや、あいつは仲間の金を盗む所業を犯した。到底許されることじゃない。」

「それもそうだな。」

実際はエンリに疑いが向くよう僕が仕向けた事だ。やっぱりこいつガードンは頭悪いな。まずそもそもの話エンリが僕の告白を無視するのが悪いんだ。断らなかったら可愛がってやったのに。そう考えていると後衛担当の魔術師兼回復術師ディーナ=スレイブが

「ねぇねえ、カズ?私のマナポーション無いんだけど。」

「ああ、そういやあいつがいつも買い出ししてたな。」

忘れてた。今回から自分たちで買いに行かないと駄目なのか。早くこういうことをしてくれるやつ探さないと。

ーーーー普通なら自分たちでやるべきことだがカズたちは自分たちはSランクパーティーで選ばれた存在だという意識が高かった。ーーーー

「あいつ、ちゃんとポーションをストックしときなさいよ。無能な神獣使いのくせに最後まで迷惑かけて。」

買い出しが終わったあともディーナが文句を言っている。

「まぁ落ち着けよ。あいつのことなんか忘れて新しいメンバー探そうぜ。」

そういうと

「さんせーい!」

「賛成だな。」

2人はすぐに了承した。

「その前に明日の指名依頼オーダークエストの準備しないといけないぞ。」

「え〜。めんど〜。」

あーこういうのもあいつの仕事だったしな。これぐらいやって出てけよ。

ーーーー彼らはまだ知らない、エンリは決して無能などではない。むしろパーティーに一番貢献していたともいえる。さっき言われていた支援はもちろん、戦闘にも活躍していたのである。その実力はAランクにも勝るだろう。そんなことも分からず、追放した彼らの辿る運命は如何なるものか。それを知る者は誰もいない。

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