3話身の上話

※前半はエンリ、後半は2話の序盤から始まる朔の視点です。

sideエンリ

「そういえば朔ってなんであそこにいたの?」

朔にさっきまで気になっていた質問をする。側から見ればうさぎにしゃべりかける変質者だ。

「襲われた。」

えっ誰に?

「人間。利用価値があるとかないとかって言われて追いかけられた。トラップ踏んであそこに飛ばされた。」

言ってることがリアルすぎてなんとも言えない。というか神獣が居なくなったのって人間のせいじゃ?

「エンリは?」

「えっ?」

「エンリの質問に答えたから今度はエンリがワタシの質問に答えて。」


side朔

ワタシは朔。人間からは神獣といわれる月兎族だ。そして今ワタシはダンジョンといわれる場所で1人の人間と向き合っていた。

「誰?」

そう訊くと

「私はエンリ=ヒョウガ。」

と相手は名乗った。思わず言ってしまう。

「馬鹿正直に自己紹介してる人初めてみた。」

相手が名乗っている以上自分が名乗らないといけないと思うので

「アナタが名乗ってるから名前言うね。ワタシは朔。月兎族げっとぞく。」

驚いたように

「神獣なの?」

と訊く。

「人間はそう言うけど。」

いやうさぎがしゃべっている時点で気付いてほしい。もうとっくに気付いてると思ってた。そしてエンリが神獣使いということを知り契約することになった。

「我が名はエンリ=ヒョウガ。ここに契約を結び、縁を繋ぐ。そして今ここで真名しんなを交換し契約を成立とする。汝の名は?」

「白夜」

そう答える。いい名前と言われた。ちょっと嬉しかった。その後ダンジョンからようやく出れた。けどここから出るために宝箱を開けるとは知らなかった。宝箱を開けた瞬間視界がぐにゃりと曲がり景色が変わった。やっぱり転移させられるのは慣れない。エンリがよく行っている武器屋に向かう道中、

「そういえば朔ってなんであそこにいたの?」

と、エンリは訊いてきた。

「襲われた。」

「えっ誰に?」

「人間。利用価値があるとかないとかって言われて追いかけられた。トラップ踏んであそこに飛ばされた。」

そう答える。

「エンリは?」

「えっ?」

まさか質問されるとは思わなかったのだろうか?

「エンリの質問に答えたから今度はエンリがワタシの質問に答えて。」

「分かったよ。私さ、とあるパーティーに所属してたんだけど、見に覚えのない罪で追放されちゃったんだよね。それに追放されたからっていう理由でランク落とされるし、人生踏んだり蹴ったりだよ。」

ため息をつきながらエンリは教えてくれた。

「…。」

かける言葉が見つからなかった。

「まあこんな辛気臭い話はやめにして違う話しよっか。」

エンリはそう言って雰囲気を明るくしようとした。うん、絶対気にしてるよね?

「あっ、ついたよ。」

着いたんだ。するとエンリが

「カバンの中に入っていてくれるかな?朔が神獣ってバレたらいろんな面倒なことに巻き込まれても困るからさ。」

という。自分も厄介ごとは嫌なのでOKする。そして...

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