プチコフレ(2)
「ババア リュミエラ、次の新作は貴店のランタンだと聞いたけど、見せてもらえるかね」
私の座るカウンターに小さな手が伸びて、ピカピカの銀貨がコトリと置かれた。
姿は見えないが、少し身を乗り出すと、背伸びをしているであろう小さな少年の姿が見えた。
「……ケビン様、いつもご愛顧いただきありがとうございます。当店はマダム リュミエラ。私のことは、宜しければリュミエラ、もしくは店主とお呼びいただけますか?」
私は椅子を降りて、ケビンの横に膝をついた。とびきりの笑顔でね。
「それから、サー。大変恐縮ですが、建国300周年春のスーベニアランタンの製作について、確かに私共が任じられておりますが、デザインの発表は当日タウンホールにて。となっております」
私はカウンターの銀貨をそっとケビンに握らせた。
「どうかこちらはお納めくださいね」
ケビンも笑顔を作った。
仕立ての良い絹のシャツ。光沢のある紺の半ズボン。
可愛らしい笑顔は天使のようにも見える。
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