プチコフレ(3)
「あぁー……、リュミエラ。君は一体我が家がどれだけ貴店の売り上げに貢献しているか、店主のくせにご存じないわけかね?」
「いいえ、ケビン様。いつも大変感謝しております」
ケビンの家は私の家のお隣さんだ。
私の祖母がマダムリュミエラ・コフレタビジューを立ち上げた時から、ケビンが生まれる前から、気に入っていただいているお得意様。
ケビンもそう。
憎まれ口をたたくけど、ランタンの灯りが好きで、キラキラした世界が好きで、新しいものを出すたび、彼のお小遣いで沢山のランタンをコレクションに加えてくれている。
なんなら、私が仕事で悩んだ時に、そっとフィナンシェを差し入れてくれる。本当は美しいランタンの世界が好きなだけの可愛い少年だ。
そのケビンが、笑顔の後ろに怒りを張り付かせて、私を睨みつけている。
「ケビン・リスタカマーク様、私、フロアコンシェルジュのルフレと申します。大変恐縮ですが、宜しければ、初夏に予定しております新作を、店主に代わり、私がご案内致します」
新人のルフレは実に気が利くスタッフだけど……。
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