第80話

 そして、異世界召喚者であったものたちにも、魔王級のモンスターが出現したという話が伝えられていた。

 異世界召喚者たちは今まで城でただ修行をさせられていただけだった。

 剣の素振りをさせられ、ダンジョン上層のモンスターの討伐をさせられ、座学という名の勉強をさせられていただけだった。

 だがついに異世界召喚者にも、役目が与えられる。

 それはディザスター級のモンスターの討伐。

 魔王級のモンスターの討伐。

 それが彼らに与えられたクエスト。

 それは異世界召喚者にとっては、卒業試験のようなものだった。

 魔人族と戦う前の試験のようなものだった。

 異世界召喚者がやっと今までの修行の成果を出すときがきた。

 その話は今、軍団長から異世界召喚者たちに伝えられている。

 彼ら、彼女たちはやっとボスモンスターとの戦いができるのかと、胸に希望を抱いていた。

 やっと元の世界に戻るための道が始まるのかと、そんな少しの安心感を感じていた。

 自分たちがやっとその場にいける、戦いの場に行けると、彼ら、彼女たちはそう思っていた。

 彼ら、彼女たちは自分たちが魔人族を倒すのだと、魔王を倒すのだと、そう信じていた。

 自分たちにはその力があるのだと。

 リュウノスケ、メガネをくいっと押さえているショウヘイ、アヤノ、クラスの人気者のミコト、そして幼女ミコトが招集されている。

「ディザスター級が現れたってまじかよ。やっとか。やっと強い相手と戦えるのか」

 というリュウノスケ。

「そいつらをわたしたちが討伐してくればいいんだよね? ちょー余裕っしょ」

 というアヤノ。

「まあ異世界での生活にも飽き飽きしてきたところだ」

 眼鏡をくいっと押して言うのはショウヘイ。

「やっとかー。やっとわたしたちの実力を見せることができる場がきたねっ。今まではさんざん座学とか、ダンジョン上層でのモンスター討伐だけだったから、わたしたちはもう魔人族討伐なんて軍団長は忘れているのかと思ったよ。わたしたちなんて実は才能がなかったんじゃないかって、そんなことを思っていたよ」

 というのは女子高生のミコト。

「みんなでがんばって、でぃざすたーきゅうのモンスターをたおしましょう」

 というのは幼女のミコト。

 軍団長は言った。

「討伐対象のモンスターの名前はオークディザスター。まあSランクのモンスターだ。だが今まで必死に座学と訓練をしてきたお前らなら、オークディザスターが相手であったとしても、問題なく討伐をすることができるだろう。Sランクのモンスターが相手であっても、問題なくやつを倒すことができるだろう」

 という軍団長。

「やっとつええやつと戦えるのか」

 嬉しそうな顔をしているリュウノスケ。

「まあオークディザスターなんて、わたしたちにかかれば楽勝だよね」

 というのはアヤノ。

「魔王級か。ディザスター級のモンスターとは……一体どれほどの実力の持ち主なのだろうな。みんな、あまり油断はするなよっ」

 眼鏡をくいっと押さえたショウヘイが、研究のしがいあるモンスターかというふうな顔をして、言った。

「魔王級かー。ボス級のモンスターと戦うのはちょっと不安だなー。大丈夫かなー。みんな、怪我しないように気をつけようねっ」

 というのが女子高生のミコト。

「まおうきゅうのモンスターを、ただぼこぼこにしてやればいいんですよねっ。やりましょう。わたし、がんばりますっ」

 というのが幼女のミコト。

「みんな、頑張ろうっ。魔王級が相手でも、わたしたちは負けないよっ」

 と女子高生のミコトが異世界召喚者たちに向かって言った。

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