第21話
冒険者ギルドの受付のお姉さん、ミリカさんの列には相変わらず行列ができている。
ほかの受付はなんだか空きがあるようだ。
とはいえ、今日もミリカさんの笑顔を見ようと、ほかの冒険者と同じように、オレはミリカさんが受付の列へと並ぶ。
ミリカさんはというと、笑顔の中に、ほかの列に並んだら? というような意味深な笑みを浮かべていたが、オレもまた笑みを浮かべて、いやですよ? とその意見を断った。
ミリカさんはこの冒険者ギルド一番の人気受付嬢なのだ。
だからまあわざわざオレと同じように、ほかの冒険者もまたミリカさんの受付の列に並ぶのだろう。
列に並ぶ冒険者が一人二人と進んでいき、ようやくオレの番がやってきた。
その時間約十分ほどである。
「サトウ様、お待たせしました。サトウ様が受けたクエストはこれですね」
そう言うと、ミリカさんは魔の森のゴブリン討伐というところにクエストクリア、というハンコを押した。
「そしてこちらがサトウ様がゴブリン討伐によって得たモンスターの素材ということでよろしかったでしょうか? ゴブリンの耳が十四個……」
「はい」
オレはそう返事をすると、ミリカさんはお金をとってきた。
「ゴブリン討伐のクエストクリアとゴブリンの耳の素材の入手により、報酬は銀貨四枚になります」
銀貨四枚というのは日本円にして、四千円くらいの価値である。
とはいえ、一日に四千円でも稼げれば、十分に異世界では暮らしていくことができる。
うまい飯を食べることだってできるし、うまい酒だって飲める。
いい武器やいい防具、エリクサーのような貴重な回復アイテムを買えるような日給ではないが。
とはいえ、うまい飯、うまい酒があれば、異世界は楽しい。
モンスター討伐はなんだかいい気晴らしになるし、モンスターを倒すだけで報酬がもらえるのだからな。
オレはなんだか疲れたな、今日も宿屋に帰って、酒を飲んで寝るかな、なんて思いながら、宿屋に入った。
と、ユイカが明るい笑顔で出迎えてくれる。
「お帰りなさい。おっさん」
「おう。ユイカ。ただいま」
「なんだかおっさん、今日もまたレベルアップしてきたんじゃない?」
「そうか? レベルはアップしていないはずなんだが……」
それともあれだろうか。
大量のゴブリンとの戦闘で、何かがレベルアップしているのだろうか。
「そ、そうかな? なんだか今日の朝より、筋肉が違うような気がするんだけど。筋肉が輝いているような気がするんですけど」
ユイカは不思議そうな顔をして、でも気を取り直して、言った。
「あ、おっさん、今日の夜ご飯はね、オーク肉のから揚げなの。よくできたから楽しみにしていてね」
オークの肉か。
オークの肉なんておいしいのだろうか。
「ありがとう。じゃあ風呂に入ったら、そのあとに飯にするよ」
「わかった。じゃあ少ししたら、おっさんの部屋に料理を持っていくね」
というユイカ。
オレはふわあとあくびをしながら、風呂場に入った。
そして身体をきれいさっぱり流したあと、部屋へと戻る。
テーブルにはもう料理が並んでいて、そこには笑顔のユイカが待っていた。
「おっさん、もう料理の準備はできてるよ」
「おう。ありがとう」
オレはテーブルの席に座ると、
「いただきます」
と手を合わせる。
そして見た目は普通のから揚げと変わらないそれを一口食べた。
「!」
それは衝撃だった。
オークの肉って、こんなにうまいものだったのか。
つい、
「う、うめー。うますぎ。なにこれ。こんなにおいしい肉食べたの初めてかも」
という声を出してしまう。
オークのから揚げを食い、蜂蜜酒を飲みながら、オレは一日の疲れを飯で癒していた。
いやあ、異世界の飯がうますぎるぜ。
異世界の酒がうますぎる。
オーク肉うますぎる。
異世界ってのも案外悪くないものだな、なんて思いながら、オレはオークのから揚げを食いながら、晩酌を楽しんでいた。
サトウ 40 男
LV:5
STR:70
VIT:70
INT:70
DEX:70
AGI:70
LUK:600
武術LV3 身体強化LV3
気配感知LV2
<スキル>
なし
<固有スキル>
まぶしい光
<加護>
太陽神の加護
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