第12話
森の中で十ほどのゴブリンを倒した頃だろうか。
ようやく森の出口が見えてきた。
「あれが森の出口か……」
ここまでくる間に倒したゴブリンからは、ゴブリンが持っていたお金を回収してある。
そして倒したゴブリンも何かに使えるかと思って、アイテムボックスの中にしまってある。
モンスターの解体をすると、アイテムや素材を手に入れることができるんだけど、そのやり方というのは、結構グロテスクな内容だから、できればやりたくない。
とはいえ、モンスターの解体で手に入れた素材は売ることができる。
そんなふうに考えて、いずれはモンスターの解体も自分でできるようにならなければ、と思いながら、森の出口から出る。
これからどうしようか。
そんなことを考えながら、異世界にはダンジョンのほかに何があるのだろうかと考える。
ゲームのようにダンジョンや異世界の城があるのだから、当然異世界の村だってあるのだろうか。
なんて何分か考えながら歩いていると、遠くに村が見えてきた。
村の形が見えてきた。
どうやら異世界にも村があるらしい。
森の中に比べたらほとんどモンスターなどいない平原を進みながら、オレはなんだか足取りが元気になりながら、村へと歩いていた。
城から追い出されたときは、これからどうすればいいのだろうかと、異世界で一人でやっていけるのだろうかと、そんなふうなことを考えもしたが、森の中でゴブリンと戦い疲労しているせいか、今はのんびりと村で休みたかった。
村の宿屋で休みたかった。
一刻も早く休憩がしたかった。
さて、疲労しすぎると、あとちょっとの距離だというのはわかっていたが、歩いても歩いても村にはつかない。
村までの少しの距離が、そのちょっとの距離が、遠かった。
思った以上に身体が疲れ切っていたのかもしれない。
モンスターとの戦闘で疲れきっていたのかもしれない。
モンスターとの一人での戦闘は思ったよりも疲労がたまったのかもしれない。
だが目の前にあった村への距離が一歩、また一歩と近づいていくと、安心感のようなものが感じられた。
ようやく村にたどり着ける。
ゴブリンから手に入れたお金があれば、村の宿屋で一泊くらいはすることができるだろう。
そして村に到着。
異世界の村には元の世界にはいなかった人たちがいて、その中には城の兵士さんだったり、冒険者たちだったりの姿が見える。
鎧を着た兵士だったり、魔法使いの格好をした少女なんてのは元の世界ではなかなか見ることができないから、この光景はなんだか新鮮だった。
そして異世界にはモンスターがいるというのに、魔王がいるというのに、彼ら冒険者の目はなんだか輝いているように見えた。
さて、村の入り口に門番がいて、オレが村に入るのを邪魔してくる。
それはまるでゲームで通行止めのような行動をする門番のようで、オレは異世界というのはゲームの世界と似ているのだなあと、冷静にそんなことを考えてしまった。
門番は言った。
「そこのお前、金を支払わないで中に入ろうとするな。村に入るなら、金を払え」
どうやら村の中に入るには、お金を払わないといけないらしい。
オレは元の世界で村に入るときにお金を支払ったことはなかったから、そりゃあ映画館に入るときや、飲食店に入るときはお金を支払ったことはあるけれど、異世界というのは不思議な世界だなあと思いながら、言った。
「ええと……いくら払えばいいんですか?」
「なんだ?」
門番は言った。
「村に来るのは初めてか? そういえば変な格好をしているな」
じろじろとオレのことを見てくる門番。
「銅貨三枚だ。銅貨三枚、払えるか?」
「はい。銅貨三枚ですね」
オレは門番に銅貨三枚を払った。
ゴブリンからお金を手に入れていてよかったとオレは心の底で思った。
「よし。それじゃあ通っていいぞ。あとまだ冒険者カードを作っていないのなら、冒険者ギルドに行くといい」
そう門番は言ってくれた。
門番は教えてくれた。
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