第10話、いざ草探し!!!!

「次に黄金級(アウルム)の説明です。

 こちらは上級冒険者の階級です。師範代や、高脅威度の魔物を一人で何とかできる方々が属しています。

 災害級脅威度の魔物を討伐する際の指揮を取ってもらうなどの、大変な仕事が多いので、ギルド所属の場合の基本給が結構な額となっております。

 冒険者達の一つの目標ですね」

「へぇー、そりゃすごいっすねぇ!」


 スライムには雲の上の話だな。


「ん?あれ?まだマークはありますけど?」


 説明された三つ以外にもあと三つある。


「はい。こちらはとても特別な階級です。

 まずはこちらの白金級(プラティナ)」

「カッコいい」

「ありがとうございます。

 こちらは国家お抱えの冒険者、いえ、名称が変わりまして執行者と呼ばれる方です。国に大きく貢献し、国に遣え守護する階級です。現在三人おります」

「すげー!」


 頭の中に華々しい人が国家を背負って立つイメージが浮かぶ。

 一目見てみたいな。

 いや、下手すればスライムとバレて瞬殺されるか。


「ちなみにですが、白金級(プラティナ)と他の二つは昇級によって成れるものではありませんので、あしからず」

「? はい」


 今の注意事項は何なのだろう?

 もしかして今のような質問をした人がいたんだろうか。


「次は隕鉄級(メテオリーテス)。国家の危機を救う程の貢献をした英雄の階級です。ご存知の通り、彼の英雄、フォーラストやサイサキがこの階級ですよ」

「へぇー!そうなんすねぇ!」


 誰?


「そして最後が開闢級(アンチマター)。こちらは現在ただ一人だけの称号となります。知ってはいると思いますが、イース・アンギフト、勇者の階級です。あとは言わなくても分かりますね?」


 お姉さんは笑顔を向けたので、俺も笑顔を向けた。

 ごめん、わからない。

 かといってここで聞けない気もする。

 だってこの言い方だとさ、常識なんだろう??


「それでは説明は以上となります。良い冒険者ライフを」






 早速タグを付けてみた。

 むふっ、良いんでない??


「!」


 なんだか視線を感じてそちらを見ると、なにやらこっちを見てコソコソ言ってる。

 やな感じだ。


「とりあえず、できそうなものから終わらせて、お金稼ご~っと」


 クエストは掲示板に張り出されていて、自分の階級のやつから選ぶらしい。

 自分は玉鋼級(フェルム)だから比較的簡単なやつ。

 お金は少ないけど、数こなせれば何とか成るだろう。


 とはいえ、スライム(俺)にできるクエストとはなんだろう。


「これとか良さそうじゃーん」


 クエスト内容は薬草の収穫っぽい。

 草を籠に入れてる絵が描いてある。

 はっはっはっ!俺を誰だと思ってる??

 あらゆるものを食べてきたスライム様だぞ?

 草の一つや二つ、すぐに見付けてきてやるわ。

 ところでこれはどうやって受諾するんだ?


「!」


 近くの冒険者がクエストの留め金に引っ掛かってる木札を取って、受付に持っていった。

 なるほど、ああやるのか。


 早速薬草クエストの木札を取って受付へと持っていった。


 さっきのカウンターとは違う所だ。

 ここにはお兄さんがいた。


「クエスト発注ですね。木札とタグの提出をお願いします」


 これでちゃんと階級に合ったクエストか確認するのか。


「確認致しました。依頼内容の確認を行います」


 読み上げてくれるのか。凄い助かる。



 要約。

 虫除けになる薬草、キロール草、バルタ草の二つを15本ずつ取ってきてください。


「キロール草とバルタ草とは?」

「? 虫除けの草ですよ?」

「写真とか無いですか?イラストとか」


 虫に刺されたこと無いのでわからない。


「こういうのですが」


 さらりとお兄さんがイラストを書いてくれた。

 めちゃくちゃ美味い上に早い。

 なんだ?ギルド職員ってのは高い画力も必要らしい。

 俺絶対にここで働けないわー。

 スライムだから働く気もないけど。


「お兄さん絵が綺麗ですねー。ちょー分かりやすいです」

「え、そ、そうですかね…!」


 めちゃくちゃ嬉しそうだ。

 褒められたら嬉しいもんな。分かる分かる。

 絵を受け取り眺める。

 これを取ってくれば良いんだな。


「んじゃま、いってきまーす!」







 イラストと一緒に地図もくれた。

 とはいえ、そもそもこの街の構造を知らない。


「仕方ない。誰かに尋ねるか」


 というわけで武器屋に来た。


「何しに来たんだよ。3ブロンズ貯まったのか?」

「この街の形教えてもらおうと思って」

「なんなのほんとおまえ」

「これなんだけど」

「無視かよ」


 地図を見せて尋ねた。


「ここはどこら辺にあるの?」

「はぁー…。ここ」


 街の真ん中から少し逸れたところを示された。


「ギルドはここ?」

「そーそー。てか、なんだ。冒険者だったのか」

「なりたて」

「そうか」


 地図のギルドを確認する。

 この鬼みたいなマークがそれか。

 周りの森の配置と道、昨日見た風景を照らし合わせてみると、だいたいの方向が分かった。

 あとは草を探すだけだ。


「ありがとう。じゃあまたねー!」

「来るんならちゃんと金持ってこい!!」





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