事故

畦道を抜けた先にある公園。

海のように寛大な黄色が目立つ、向日葵が沢山並んだ三角公園。

静かで平和で穏やかな場所。



漫画の次の展開に行き詰まったとき、俺がよく来る場所だ。


その日も俺はノートを片手に公園のベンチに腰かけていた。

「うーん」

ヒロインをどのタイミングで登場させるか悩んでいたその時。



大きなクラクションが鳴り響いた。

軽自動車が、滑り台の下に広がる砂場に向かって突っ込んでくる。




砂場には小さな三毛猫が1匹。




「あっ!危ないっっっ!!!!!!!」



俺は砂場へと走り出し、三毛猫を跳ね飛ばした。




ギギギギギギギギギ。



巨大なエンジン音とクラクション。




「きゃあああああああああああ」

「ぎゃああああああああああ」

「きゃあああああああああ」



平穏な三角公園に似つかわしくない悲鳴が、雨音のようにポツポツと鳴り響く。



「だ、誰か救急車を」


「大丈夫ですか」


「すぐに助けるからな」



誰かに体を揺らされている。



体が痛い。

全身が熱い。




俺の意識はそこで途切れた。

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