約束の時間-B


シャンシャンシャンシャンシャン





シャンシャンシャンシャンシャン




乾燥して澄んだ空気。




シャンシャンシャンシャンシャン




息を吐いて、手を温める。




シャンシャンシャンシャンシャン



ステップを踏むように、

足元の白いタイルを軽く鳴らしながら、


君を待つ。



シャンシャンシャンシャンシャン



私の身長がまだ鉄棒の手すりより小さかった頃、


公園に君はいた。




砂場で猫と戯れて泥だらけになっていた。




一緒に猫の家を作って。




毎日代わりばんこに見に行って。




ご飯をあげて。






目を瞑ってくしゃっとなる笑顔が大好きだった。




だけどある日、猫はいなくなった。




2人で随分と探したけど、見つからなかった。



それから、君は来なくなった。




寂しかった。



寂しかった。



寂しかった。




それから、時間が流れて…




高校生になった私。




君と同じ学校。




君は覚えていないだろう。


きっと忘れられている。





でも、同じクラスになって。




前の席になって。




覚えてなくても、忘れられてても、


それでもやっぱり、


君と話したい。






勇気を出して、1度だけ話しかけたんだ。



君が消しゴムを落としてしまって、



「これ、君の?」


「うん、そう」


「そう。良かった。その消しゴム、消しやすいよねー」





君は私を見て話してくれた。



それ以来、


君と話したりする事はなかったけれど、


ずっと背中に君を感じてた。







今日は君と約束をした日。





シャンシャンシャンシャンシャン



シャンシャンシャンシャンシャン




君は覚えているだろうか。




シャンシャンシャンシャンシャン



シャンシャンシャンシャンシャン




もうすぐ、約束の時間。

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