第5話 俺様の活躍① 郷田視点
「ごらぁ! ケンタ!! ハゲ山の野郎は見つかったのか!? あんのクソ野郎が!」
「ああ、郷田。それが今朝、獣人地区の方へ歩いていくのを見かけたって
「雨宮が!? どこで会った? あの野郎も気に食わねえが」
「道具屋の前で会ったよ。雨宮のやつ、女連れだったよ。相変わらずモテるよな」
「雨宮の野郎! 今度見つけたらぶっ殺してやる!」
雨宮は、クラス一番の色男だ。俺様のほうが強いに決まっているが、なぜかヤツは女子にモテモテだ。学校外にも何人もファンの女がいたらしい。ムカつくやつだからいつかボコってやろうと思ってたが、異世界に来た今ならうってつけだった。
「あーしは雨宮きらーい、ムカつくし。女を内心見下してるよ絶対。てか、とりまどうするのー?」
マリエは舌っ足らずな口調でそう言った。
「おう! そうだなマリエ! ハゲ山が先だ! あの引きこもり野郎、タダじゃおかねえ! 獣人地区へ行くぞ。派手に暴れてやるぜい!」
獣人地区の住民に話を聞くと影山の居所はすぐにわかった。
「ここだここだ。ハゲ山はここの住人と森へ仕事に行ったみたいだね。どうする郷田? 探しに行く?」
「はっー......めんどくせー! そうだ、俺様にいい考えがある。おい、ケンタ。お前、炎の魔法使えるよな?」
「ああ、一応使えるけど」
「よし、じゃあこの家を燃やせ。ついでにここら辺の家全部燃やそうぜ」
「いいねいいねぇ! 派手に燃やしてあぶり出してやろう!」
「ギャハハハ! ここら一体を焼け野原にしてやろうぜ! あのゴミカスの顔が見ものだぜ!」
「お前たち!? ここで何している?」
振り向くと、熊のような風貌のおっさんが立っていた。かなりいい体格をしている。まあ、虎人化した俺様ほどではないが。
「ああぁん? なんだぁ? おっさん。ただの人間じゃねえな?」
「私はネズミ族の者だ。ここは私の弟の家だぞ! 火をつけるとか何かぶっそうなことを言っていたな!?」
「ハハ! 見つかっちまったよ! なあ、マリエ! こいつどうしたらいい?」
「まあ、ボコしたほうがいいんじゃない? チクられたらヤバいっしょ」
「そうだよな。チクられても別にいいんだけどよ。この世界は警察とかいねーからな」
「キャハ、どうでもいいけど、さっさとキャンプファイアーしちゃおーよ、ノリでさ」
「お前たち……正気か! 一体何を言っている!? この家を燃やすなんて許さんぞ! 痛い目にあいたいのか!」
「おいおい、おっさん。それはこっちのセリフだぜ。俺様たちとやる気か? まったくこれだから……獣人族は野蛮な民族だぜ」
「だまれぇ! この獣人地区を荒らすやつらには容赦せんぞ!」
「グルルル! よぉ、おっさん! 俺様に逆らったことを後悔させてやる! グチャグチャにしてやるぜ!」
ブオン! ドガッ! グシャッ!
俺様は、絡んできたネズミ族のおっさんをボコボコにぶん殴った。
「ぐわああああぁ!」
「ギャハハハ! おっさん! 命乞いしろや! しても殺すけどな!」
「キャハ、タヒねタヒねー」
「っけ! ネズミの獣人がイキってんじゃねえ。こっちは虎だぞ!! 勝てるとでも思ったのか?」
俺様はボコボコになり意識が飛んだおっさんを家の方にぶん投げた。
ガシャーン!
おっさんは窓ガラスを突き破り、派手に音を立てて家の中へ消える。
「ねー、郷田。どうせだったら家にある金とか盗ってからのほうがよくない?」
マリエが名案をつぶやいた。
「それも、そうだな。それじゃあまずはこの家だ」
家の中に入ると、さっき投げ飛ばしたおっさんの側にババァがいた。
「お前たちは何者だい!? どうして息子にこんなことを……」
「おい、ババァ! 金を出せ」
「金になりそうな宝石とかもあったら全部出してねー!」
「何を言ってるんだい! こんなことしてどうなるか……。許さないよ!」
「ねー、婆さん。いーから言うこと聞きな」
マリエがババァの髪の毛を掴んでそう言った。
「いいかい? 金品を全部あーしたちに渡しな。残り隠さずね!」
「わ、わかったわ。乱暴しないで……」
マリエはババァを寝室へと引きずるようにして連れていった。
マリエの能力、
「お前ら……鬼畜生か……。母さんには手を出すな……」
倒れていたネズミのおっさんが俺様の足を掴んできたので、頭を踏んずけてやった。
バキッ!
「ぐわぁ!」
「黙ってろ!! 腐れネズミが!」
「ぐうぅ、お前ら、絶対に許さんぞぉ……絶対に……」
俺様はおっさんの頭をグリグリと踏みつける。
「ふふ、こうやって頭を踏んでるとハゲ山のことを思い出すぜ!」
そして、思いっきり頭を踏み抜いてやった。
グシャッ!
「へへ、まだまだ、ここら辺を派手にぶっ壊してやるぜ!」
こうして、俺様たちは獣人地区の家を略奪し、最後に火を放ちバーベキューにしてやった。
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