16
さて、あのパーティーを終えてから長い長い一週間がようやく過ぎようとしていた。
ボクは鼻歌を歌いながら車に乗り込み、ミキとの待ち合わせ場所へ車を走らせた。
映画か・・・何を見てもいつもついつい眠くなっちゃうんだよね。気をつけないとな。
恋愛映画なんて一体何が楽しいんだろうか?映画と同じシチュエーションになんて巡り合うわけ毛頭無いのに、女の子達はこぞって恋愛映画が好きだよね。
そんな事を考えているとミキの姿が見えてきた。
「こんにちは。」
「こんにちは。今日も可愛い服着てるんだね!とても似合っているよ!」
「あ、ありがとうございます!」
ミキはあからさまに顔を赤らめた。きっとさ、この一週間だってボクの事沢山考えてくれてたと思うんだ。
この可愛いピンクのニットだってボクを想いながら買ってくれたんでしょ?
いいね、ミキ。そうこないと。もっともっとボクの事で頭がいっぱいになればいいよ。
ボク達はそのまま車に乗って映画館に向かった。地方だからね。大きなショッピングモールに併設されている映画館は週末とあってかなり混んでいた。
ボク、人混みは嫌いなんだ。
でも自分が悪いからね・・・そう思ってなんとか偽者の笑顔を崩さないように頑張ったよ。
映画の内容はそっちのけで眠気覚ましに時折ミキにちょっかい出してみたりして。でもミキも満更でもなさそうで二人の距離は縮まったし、つまらない映画もたまには悪くないと思ったよ。
映画が終わり、ボクはミキを食事に誘った。なんかあんまりかしこまった所は苦手なのかなと思ったから庶民的なイタリアンに連れて行ったんだ。こうやってさ、女の子一人一人の好みを確実に当てて行く事もモテる男には必要なスキルだよね。高級なお店だったらミキは恐縮しちゃったと思うけどラフな感じのお店だから気を張らずに楽しそうだった。
そんなこんなで少しずつ日は暮れていき食事が終わった時にはもう夜になっていた。
ああ、どうしようかな・・・と正直悩んだよ。だって今日にでもボクの家に来て欲しいけど・・・焦ってると思われてもなあ・・・。前回の事を考えるともう余計な遠回りはしたくなかったんだ。
だから発想を変える事にしたよ。
ミキ、ボクに殺されるかどうかは君自身が決めたらいいよ。ボクは以外と運命とか好きなタイプだからね!
「ミキ、この後どうする?」
今日もし君がボクの家に来ないようだったらボクはもう君の事を殺すのは諦めるよ。もう二度と会う事も無いだろう。何、世の中女性は沢山いるし・・・たまには女性側に選択肢をあげるのもいいよね・・・。
昔の夢を見た後だからだろうか、ボクはいつもよりなんだか穏やかな気持ちでいっぱいで是が非でもミキを殺したいとは思っていなかった。
「明日も休みだよね?よかったらボクの家に来ないかい?」
「あ・・・えっと・・・。」
「抵抗あるようだったらミキの家まで送って行くし。」
ボクはなるべくサラッと爽やかにミキに決断を委ねたつもりだ。
さあ・・・ミキ、どうするんだい?
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