15

「・・・うっ・・・ね、姉さんっっ!やっと・・・やっと一つになれたねっ!」


感動しすぎて身体中に鳥肌が立ったもんさ。きっともう一生あれより気持ちいい感覚は体験出来ないんだろうね。ボクは夢中になって腰を振り続け、そのお陰で無事に達する事が出来たんだ。姉さんの中はまだ生温かかった。


「はあっ・・・はあっ・・・。」


興奮と激しい動きで息が切れたボクはそのまま姉さんからゆっくりとボクを引き抜いた。


「・・・・・あ。」


そこで引き抜いたボクの一部にべったりと血液がついていた事でボクは初めて知ることになった。


ボクも初めてだったけど、姉さんも初めてだったんだってこと。


ああ、姉さん・・・そんな・・・ボクが誤解していただけなんだね・・・姉さんは・・・全然・・・汚れていなかったのに・・・。


それからボクは血をつけて全裸のまま会社の中にある大きな金庫の前に行った。


姉さんも知らない金庫の開け方。ボクが小さい頃、たまたま父さんが目の前で金庫を開けるのを見る機会があったんだ。ボクは小さかったからどうせ開け方なんて覚えられないと思ったんだろうね。でも父さんの考えに反してボクはその一回でダイヤル式の金庫の開け方を覚えてしまったんだよ。


まあ別にボクはお金には興味無かったから今までこの金庫に触れないできたんだけど。


カチカチカチ・・・。


頭の中にある当時の記憶を呼び覚まし、ボクはダイアルを回し、鍵を開けた。


ガチャ。


よし、開いたぞ!


そこには表に出せない大金が隠されていた。でもボクが欲しかったのはこれじゃない。


ボクは金庫の下の方にある引き出しを開けた。


・・・・・あった。


そこには異様なオーラを纏った、鋭い刃が光るナイフが隠されていた。


誰を殺したかは定かでは無いけど、何年、何十年もかけて沢山の人の命を奪ってきたであろうナイフ。おじいちゃんもおばあちゃんももしかしたらこのナイフで・・・?


ボクは意を決してそのナイフを強く握り姉さんの元へと戻った。


父さん、母さん、姉さん・・・辛かったね。


これからはボクが全て受け継いであげるよ・・・その止めどなく溢れてきた殺意達を。


時間が経ち冷たくなった少し前まで姉さんだったモノと哀愁の口づけかわした後、ボクは持っていたナイフで唇を引っ張り上げ、切り取った。まるで魚の皮を剥ぐように・・・。


そしてボクはそれを口の中に放り込み、口から血を垂れ流しながら美味しくいただいたんだ。


口の中に広がるのは唇のぶよぶよした感覚と鉄の味。


でもボクはこの時からこれより美味しいものに出会えた事が無い。


だからこそ、常日頃またその時を待ち焦がれながら今を生きてるんだ。

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