数百年後、何故か慣れる生と死のループ
数十年は生と死を繰り返した。
死んだ回数は数え切れなかったし、一々年月を数えられないので雪が降る度に一年と認識する事にした。
という事で雪が降り始めて、一切降らなくなるまでの循環を一年と認識して数十回経った。
そのくらいでようやく死ぬまでの時間が1秒から10秒に延びた。ついでにどうやって死んでるのかを理解出来るようになった。
痛みや刺激、鈍痛は実際に受けておらず、それらを直接脳に叩き込まれてそれに伴う脳へのダメージで死んでいるという事を理解した。
まぁ、分かっていても対応出来ないので転がったままだったんだが。
という訳で何とか死ぬまでの時間を延ばす方向で考えて、まず痛みの区別と処理をする事にした。
区別分けなんて出来なかったけどな。
そんなこんなでさらに数十年。
漸く起き上がれるようになった。起き上がっては仰向けに転がるという繰り返しだが。
死ぬまでの時間は30秒に延びていた。
延びたところで何が出来るのかと言われると、何も出来なかった訳なのだが。
強いて言うならば、数年に一度空の端に飛んで此方を眺めている影が見えるぐらい。
ついでに言うと痛みだの刺激だのは何も感じなくなっていた。痛いのは痛いんだが。
という訳でさらに数十年、感覚的に二百年から三百年ぐらい経った頃合い、死と生を繰り返す瞬間に関しては1秒以下で発生するようになった。
そうなって来ると座り続けるどころか立ち上がって歩くことが出来るんじゃないのかと思った。
そんな訳で立ち上がってみると、地面に叩きつけられた訳なんだが。
びっくりしたよね、思わず心臓が止まっちゃうくらいにはびっくりしたよね。
誰かに叩きつけられたのかと思ったけど、どう考えても俺を殺し続けてる呪いの塊が降り注いだだけっていう事に理解したよね。
十八回くらい地面に叩きつけられてからだけど。
考察に頭を回してみた結果、多分逃がさないようにしてるんじゃねぇのかなって思った。
逃げようとしたら地面に叩きつけて、地面に縛りつけたら莫大な衝撃で殺そうとしてる。
おそらくそうなのかなって十八回叩き付けられて思って訳よ。実際寝転がったまま跳ねたら抉り込む勢いで叩き付けられたし。
という訳で歩く事を諦めて座り続ける事にした。
何の生物も居なければ植物もない、強いて言うなら星が滅茶苦茶綺麗って事だけど、飽きる訳よ。
十年は保ったけどな、何か痛みに慣れようとしている期間と比べるとつまらなかった。
それで座ったり寝たり、ゴロゴロ動き回ったりして一生懸命暇を潰していたある日。
俺の頭上をクソデカい影が覆い尽くしたのよ。
そらもういきなり夜になったのかと思うぐらい。
それでうつ伏せになってた体を起こして、上を見たらさクソデカドラゴンが見下ろしてる訳よ。
もうさ、久しぶりに見た生きた生き物を見て大歓喜してさ、手を振った訳よ。
クソ熱い炎ぶち撒けられたけど。
久しぶりに死んだなぁなんて思いながら蘇生する訳よ、服も込みで耐え切れる訳ないし。
という訳で燃え尽きて蘇生する事を数回繰り返していると降り注いでいた炎が止まったんよ。
休憩かなぁなんて思ってたら声を掛けられたんよ。
「お前何で生きてんの?」
「何でだろうね?」
「分からんのか、そうか...」
それが俺の生涯の盟友との初会話だよ。
今思えばクソみたいな会話だよな、まぁ当時は久しぶりの会話で声カッスカスだったししゃあないが。
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