遠苑涼花という女性が親友の白守乃衣を助けるために、20年前の過去に時間跳躍するというSFタイムトラベル小説です。
冒頭では、20年前に起きた大惨事の中で重傷を負った涼花が、乃衣の安否を心配しながらも力尽きそうになる場面が描かれています。そして20年後の現在、涼花が乃衣を救うために過去に跳躍する決意をし、その準備を進めていく様子が丁寧に描写されています。涼花が乃衣の墓前を訪れるシーンは印象的で、幻覚として現れた乃衣の姿は涼花の心情を象徴的に表現しています。
時間跳躍実験の最中のトラブルやスパイの襲撃など、緊迫感のある展開が続きます。仲間の犠牲や、涼花自身の危険な賭けなど、登場人物たちの必死の姿が描かれています。テンポの良い描写となっています。
涼花が覚悟を決めて時間跳躍を実行するシーンが描かれ、想像力をかき立てます。
親友を助けるために命を賭ける涼花の強い意志と、仲間たちとの絆が物語を引っ張っています。20年もの時を隔てた親友への愛情も感じられました。
SF設定のタイムトラベルを軸にしながら、人間ドラマの要素もバランス良く組み込まれた物語です。