第15話 寒い日は……
「あ~寒かったぁ~!!」
外での仕事が終わって相談所に帰ってきたシエルは手を擦っている。
「ご苦労様です、シエルさん。ココア飲みますか?」
ノワールがマグカップ片手にそう聞けば、シエルは激しく頷く。
「お願い~!!温かい飲み物、飲みたい~!」
「あ~ココア美味しい~!」
「シエルさん、クッキー良かったら食べませんか?」
「そう言えば……新聞の天気予報見たら、明日、雪が降るかもだってね」
「そうなんだ。なら、明日はもう少し分厚いコートを着てこよう……」
皆、ココアを片手に少しほっこりタイムだ。
「あ、さっき外を歩いてたら鳥を見かけたんだけど……すご~いまん丸にふくらんでたんだよ~可愛かったなぁ」
シエルがそう言うとカナリーが「何で膨らむか知ってますか?」と聞いた。
シエル達は首を横に振った。
「羽毛布団が温かいのと同じ原理です!羽毛のすき間に温かい空気を保持できるので、鳥達は寒い日はできるだけ膨らんで、温かい空気を羽毛のすき間に溜め込もうとするんです」
カナリーがそう説明すると、シエルは「なるほど~」と呟いた。
「人間も鳥もどれだけ着込んでも、羽毛があっても寒いものは寒いわよね」
リリィはそう言って膝に掛けてたブランケットを寄せた。
「そうそう……鳥同士でぴったりくっついて暖を取ったりすることもあるんですよ」
カナリーがそう言うとシエルが瞳をキラキラさせる。
「わぁ~!見てみたい~鳥達もおしくらまんじゅうするんだぁ」
「おしくらまんじゅう……幼い頃はやったな」
ノワールはココアを一口飲むとそう呟いた。
「私達妖精族は、背中の羽が邪魔であんまりやらなかったわね……」
リリィがそう言うと、シエルは「わかる~」と頷いた。
「ね、カナリーさん、鳥達は他にどんな風に冬を過ごすの~?」
「そうですね……子育てが終わった親鳥達は、次の繁殖期……春が来るまでは生き残る必要があります。なので、鳥達は『混群』という種類が違う鳥同士が集まって群れを作って過ごすんです」
「種類の違う鳥同士が?」
リリィが驚いた表情をする。
「はい!少数が集まるより、種類が違ってもたくさんの鳥達が集まった方が、エサの場所の情報交換が出来たり、敵の発見が早くなったりするんです」
「へぇ……生き残るために、違う種類の鳥達が協力し合うんですね」
ノワールがそう言えば、カナリーは頷く。
「バードウォッチングの時に混群を見つけた時は最高に幸せなんですよー!いっぺんに色んな種類の可愛い鳥達を見れてしまう……!!」
カナリーはうっとりとした表情でそう言った。
「鳥達の厳しい寒さを乗り越える方法って色々あるんですねぇ~」
シエルは空っぽになったマグカップを流し台に持っていきながらそう言った。
「いい勉強になったわ。ありがとう、カナリーちゃん」
リリィがそう言えば、カナリーは照れた顔をした。
「では……休憩を終わりにして仕事に戻りましょう。シエルさん、さっそくですけどこの案件、お願いします」
ノワールは資料の束をシエルに渡す。
「ひょえ~!けっこうあるなぁ……」
カナリーがふと窓を見ると、何かはらはらと降っている。
「あ、雪……!」
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