第6話 拐われた水の精霊
今日は休日。
カナリーはぶらぶらと散歩しながらバードウォッチングをしていた。
公園に訪れたカナリーは、カラスを観察していた。
(あれは……くちばしが細めだからハシボソガラスかな……)
上手くいけば、カラスが遊んでいるところを目撃できるのだが……今日は休日。公園にはたくさんの人がいるので、カラスが遊んでいるところを見るのは無理そうだ。
(あぁ……ただ木の枝に止まっているだけなのに……美しい!!ツヤツヤの黒い羽!くちばし!瞳!綺麗~!!)
カナリーはパシャパシャとカメラで撮影する。
そんな時だった。
「あれぇ?カナリーさん?」
カナリーが後ろを振り向くと、そこにはシエルがいた。
「シエルさん!!こんにちは、お出かけですか?」
「そうなの~。ね、良かったらパン食べない~?さっき、焼きたてのパンをい~っぱい買ったの~!」
時計を見れば、もうすぐ正午。カナリーはシエルのお言葉に甘えてパンを頂くことにした。
2人は仲良くベンチに並んで座って、パンを食べる。
「このパン、とっても美味しいですね!」
「でしょ~?私、ここのパン屋さんのパンみ~んな大好きなの~!妖精と人間の仲良し夫婦がパン屋さんを営んでるの~」
シエルから色んな話を聞き、パンを食べた後は、2人でぶらぶらと公園を散歩する。
湖付近に来て、カナリーが「あっ」と声を上げる。
「シエルさん!カモがいます!あれは……オナガガモですね」
茶色っぽいカモが何羽か湖にいた。
「本当だぁ。可愛いね~」
シエルがそう言うと、1羽のカモが水に顔を突っ込み、お尻を上にして逆立ちをしたのだ。
「え?え?あれ、何してるの?」
シエルがびっくりしてカナリーにそう聞く。
「あれは、水中にある水草を食べてるんですよ。逆立ち採餌って言います!」
2人は和やかにカモの様子を見ていた。
カナリーはもうちょっと近くでカモの様子を見たくて湖の縁に近づいた時だ。
ザバァア!!
突如、湖から何かが現れる。
「あぁ!!そこのお姉さん達!私の親友を助けて!」
2人の前に現れたのは水の精霊、ウンディーネだ。
「ど、どうしたんですか?」
シエルがそう聞くと、ウンディーネは一気に喋りだした。
話を要約すると、普段は別の水辺に住む2人のウンディーネが、気分転換にこの湖に遊びにきた。そしたら、突然この湖の底に住むピアレイという水の精霊が1人のウンディーネを底に引き込んでしまった。
もしかしたら、突然この湖にやってきて怒ったのかもしれない……だから1人のウンディーネをさらったのかもしれないと、残されたウンディーネは考えた。
謝ろう、そして親友を返してもらおうと思い、底のピアレイの住みかを訪れ、謝罪をしたいと伝えるが無反応。
困り果て、誰かに助けてもらおうと思ったところにカナリーとシエルが湖に近づいたから話しかけた……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます