第5話 ハンターフクロウ

「カナリーさん、君ならこれ以外にどんな案を考える?」


ノワールにそう問われる。


リンゴを盗む妖精は、姿を透明にする魔法を使って逃亡する。


「フクロウ……が良いかも」

カナリーはそう呟く。

「皆さん、フクロウって耳の位置がずれてるって知ってましたか?」

カナリーがそう言うとノワール達は驚いた表情をする。


「え!?フクロウって耳の位置がずれてるの!?」

シエルは思わずそう言う。

「はい!耳の位置がずれていることにより、左右の耳に届く音の僅かな差から、獲物の正確な位置がわかるんです!」

カナリーがそう説明すると、ノワールは納得したように頷く。

「フクロウって夜行性だよね……。そうなると、頼りになるのは目じゃなく耳なんだ」

「そうですね。一応、フクロウの目は暗視に適しているので、僅かな光も感知しますが……暗い場所で一番情報を得られるのは、視覚ではなく聴覚ですね。それと……フクロウの羽ってすごく柔らかいんです!」

カナリーがそう言うと、リリィとシエルが自身の背中にある羽を見た。

「モフモフなの?」

シエルがそう聞けば、カナリーは頷く。

「はい!フクロウの羽って一般的な鳥より柔らかいんです。そのため、飛ぶときに羽が擦れあう音がしないので、静かに飛翔することができるんです。また、フクロウはゆっくり飛ぶので、余計な羽音を立てずに飛べるんです!」


「音もなく獲物に近づく……!すごい、フクロウってカッコいいんだねぇ!」

シエルは瞳をキラキラさせてそう言った。

「そうなんですよ!フクロウはカッコいいんですよー!でも、カッコいいだけじゃなくて、羽はぬいぐるみの如くふわふわで柔らかい……!可愛い!!」

カナリーはフクロウ愛を語る。

「でも……なんか顔、のっぺりお面みたいでちょっと怖いなーって思ったりするわね……」

リリィがそう呟く。

「あ……でも、頭部の両端に耳みたいなのがあるミミズクは可愛らしい……と思う」

ノワールがそう言うとカナリーは「羽角ですね!私は耳というか眉みたいだなーって思いました!」と言った。


しばらく皆でフクロウトークをしていた……。



数日後、リンゴ農家の方に対策について提案する日がやってきた。


「なるほど!網をかけるのは良いですね!試してみようと思います!」

その言葉を聞いて、カナリーはひとまずホッとした。


「それと……フクロウの件なのですが……」


カナリーはテーブルの下でグッと拳を握る。


「こちらも試してみようと思います!フクロウについて細かい説明してくれてありがとうございます……!フクロウって音もなく飛翔できるんですね。勉強になりました!」


カナリーは、ぱあっと顔を輝かせた。

ノワールも安堵した様子だ。



その後、相談室に美味しそうなリンゴがいっぱい入った箱が届けられた。

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