それでも、アリスは行く 〜〜無秩序なハーモニー〜〜

introduction ２

　私の名前は、アリス・クロニスター。今はオーテッドという組織のデータ関門士をしているんだ。オーテッドのデータ関門士は山のように仕事があるから、分担して仕事しているよ。私の担当は、『サテライト・エリア』の『クラーク草原』エリアの管理、届いた通知の対応……、とまあ、新人お決まりコース。入ったばかりだから、当然と言えば当然なんだけど、なんかつまんない。事前に言われたことのギャップ、激しいし。

　だって、データ関門士はゲームのRPGみたいな仕事と聞いてさ、期待しちゃうじゃん。例えばさ、剣や魔法のバトル、暴れ回るモンスター退治、ダンジョンのボス退治。……なんていう仕事、なし！　全く来ない！　専門の学校を卒業してデータ関門士になったんだけど、その苦労は一体なんだったの。

　結局、『インターネット内部に入って、君もバトルだ！』っていう広告、ウソじゃないの。私、やってないし。……あ、私、内部、入ってた。『サテライト・エリア』、インターネット内部だっけな。あ〜、決してウソじゃないか。まあ、人の命をコピーしたり、別に移すといった生命操作も、ある意味、RPGみたいかも。

　あと、管理している『クラーク草原』エリアもRPGといえば、RPGかも。インターネット内部『サテライト・エリア』内の一つなんだけど、全てデータからできているんだよ。

　こんな仕事、なかなかありつけないから、しっかりしなきゃ。もっと、しっかり……、そういえば、明日は研修だっけ。あ〜あ、なんか憂鬱。せめて、寝ないようにしないと。……そうだ、酸っぱいオレンジジュースを買っておこうっと。