第5話ドライブ

いつもの高校生3人と、小湊はドライブに出掛けた。

飛騨の合掌作りの見学の為に。

小湊は、レンタカーに高校生を乗せて、運転した。

名古屋南から、岐阜県に向かい高速に乗った。

レナは助手席に座り、シートベルトをして心地よい窓からの風に当たっていた。

景子と隆は後部座席でイチャイチャしていた。

途中、サービスエリアに寄り小湊は喫煙し、高校生はソフトクリーム等を買い、キャッキャしていた。


『ふん、ガキめ!オレのカッコいい運転技術に惚れるなよ!』


小湊はアイスコーヒーを買ってまた、高速道路を走り出した。

その時だった。


『ウゥッッ!何だこりゃ?う、ウンコがしたい。次のパーキングエリアは15キロ先だ!何故、サービスエリアで出ないのか……。我慢出来るのか?グノウッッ!ハァハァ、落ち着け小湊。お、オレは大人!高校生を乗せている。しかも、助手席にはレナがいる。カッコ悪い所は見せたくない』


「あっ、小湊さん。冷や汗かいてる。体調悪いんですか?」

「い、いや。ちょっと、眉毛が痛むんだ」

「眉毛が痛い?新種の病気ですか?」


『し、しまった。もう、菊門が臨界点を迎えて、訳わかんねぇ事言ってしまった』


「小湊さん、息遣いも荒いですよ!」

レナが心配そうに言う。


「レナのバーカ!小湊さんはトイレ我慢してるんだよ。さっき、サービスエリアのトイレで小湊さん見なかったから」

「そんな……、まさか小湊さんがそんなカッコ悪い事するはずないじゃん。ね?小湊さん」

小湊は涙を浮かべながら、頷いた。

「ほらっ、レナ!小湊さん目まで来てるじゃねぇか!」

「隆の馬鹿。後、10キロ走ればパーキングエリアだから、そこまでは小湊さん頑張れるよね?」

「あ、当たり前だ!」


時速100キロで、パーキングエリアに無事に着いた。

小湊は、菊門に有らん限りのパワーの筋肉を注入して、トイレに急いだ。

大便所にたどり着くと、3つあるトイレの全てが使用中であった。


小湊は限界だった。菊門がメルトダウンし始めた。

すると、小便器に尻を向け第1波を出した。

隆が心配してトイレに現れた。

あり得ない光景を見た隆は、

「こ、小湊さん。小便器に思いっきり……」

「ち、違うんだ……事故なんだ」

小湊は隆に一万円札を1枚握らせた。

「お、女の子には内緒にして!」

「わ、分かりました。あっ、トイレ空きましたよ」

小湊は尻を丸出しにして、大便器に向かった。


15分後。

小湊は何事もなかったように、

「お待たせ!高校生達。出発だ!」

「小湊さん、災難でしたね?」

と、景子が言う。

「何が?」

「ウンコの事」


「さぁ~、こっからが大変だ!漏れる寸前に大便器が全て使用中。第1波は小便器にしたが、空いたトイレへ下半身丸出しで移動だ!」

「……隆君。一万円返しなさい。約束破って、克明に女の子にしゃべったね?」

「これ、いいネタですよ!」

「返せ!」

隆はしぶしぶ小湊に一万円札を渡した。

レナはずっと、車窓を眺めていた。

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