第五話「はじめてのしかく」
「ええと、なんだっけ。そうそう、要するに、これから色んな敵が出てくるから頑張って戦おう、って話なんだけど」
突然現れて一方的に語る祀葉キサキに対する、ケンたちの反応は様々だ。
メアリー:「さっきから一体何なのですか?理解ができません。ケン、この女に何とか言ってやってください」
ケン:「彼女を信じるほかなさそうです。メアリー。確かに私たちが置かれている状況は異様です」
一方でゆみこちゃんは、たかし君の腕に抱き着いて、怯えていました。
「おにーちゃん、わたしこわい……おにーちゃん!!」
たかし君の視線は、キサキのスカートとハイソックスの間に見えるふとももに向いていました。その肌色の領域の面積を求めたくてたまらなかったのです。
「何見てんだエロガキ!あとそこのメリケン、そのアホ女を黙らせろ、やかましい!洋画にありがちなヒス女丸出しじゃねーか。説明しろしないで無駄な尺を使うんじゃない。冷静に考えられる奴はいねーのか」
しかしこのままでは何も判ってないとのと同じ。
ケンとメアリーは丁寧で規則正しい文法で納得したいし、たかし君とゆみこちゃんには数字を計算に絡めた質問形式でなければ効果が薄い。
その時。
「ふ、ふほほほ!ふほほ!ふほほほっほほ!感じる、感じるぞ、疑問の匂いを!」
「! このジジイ臭い高笑いは……ッ!」
「ふほほ、聞きたい事があるようだな!諸君のその疑問、私が答えてやろうでないか、ふほほほ!!」
「【なぜなに博士】……!」
キサキは振り返り、戦う姿勢を見せた。
「と、【どうして坊主】!」
両手を揉んでゴキゴキ鳴らす、一人の屈強な、老齢の男が歩いてきた。
白衣を纏い、アカデミックなクソでけえ学帽?っていうの?博士が被ってるアレを被っている。しかし肉体はムキムキだ。身長二メートルは超えてる。
そして、博士の脇をひょこひょこと、いかにも狡そうならヒョロヒョロの、坊ちゃん刈りのクソガキが笑いながらついてきていた。
「ねえ博士、こいつらが例の連中なの?どうしてここに集まっているの?こいつらは、ボクたちの敵なの?」
「【良い質問】だ、坊主!確かにこいつらは、我々の王の崇高なる野望を邪魔せんとする、教科戦士たちよ」
「へえ~そおなんだぁ~」
彼等は、教科書の欄外で時折目にする、何でもかんでも質問するガキと、それに応える博士、の二人組だった。
「さあ、何でも『質問』してこい!!有り余る知識で全てを受け止め、迸る叡智を叩き込んでやるッッ!!」
両腕を、ばばっ!と広げて構えた『なぜなに博士』の咆哮が木霊した。
「は、はかせ……!」「はかせ!」
なぜなに博士の能力はカウンタータイプである。
特に好奇心豊かな子供にとってはかなり魅力的な『質問の構え』。たかし君とゆみこちゃんは、あっさりと、なぜなに博士の術中にハマってしまいそうだ。
こんなんでもう千文字である。
とにかくこいつらは、質問をされればされる程強くなるヤバい敵で、ケンたちの疑問に誘われて現れたのだ。
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