第25話

公金横領の件はマスコミは未だ報道していない。警察から戻ってきた夕方から夜のニュースをずっと見ていたが、だれも何も言っていない。ネットで元夫の名前で検索をかけても何もヒットしない。

その金額は私も何も知らない。警察は教えてくれなかった。私もあえて聞かなかった。あくまで元夫なのだ。

共謀者ではない。警察は自分を疑っているのだろうか?

元夫の行方は依然として分からない。警察の話だと先月、夫から職場に休むという連絡があって以来、行方がわからないそうだ。

私のアパートの電話が盗聴されていたり、この先警察官に尾行されたりするのだろうか?…何も出てきそうにないが。

不穏な感じはしたが、私は本当に何も知らない。

元夫はそれほどお金に困っていたのだろうか?

少なくとも彼が今の職場でコツコツ働けば、娘二人との生活費くらいは余裕で何とかなりそうだし、娘もまだ小さいのだ。


また通院日がやってきた。

月が替わって、第一月曜日の午前だ。

この頃は、仕事の打診も落ち着いてきたので、他の曜日でも平気だったが、私は一度自分で決めた習慣を崩すのはいやだった。

主治医には、何も話さなかった。

この一カ月間、何かありましたか?

特になにも。

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