第22話

夫の職場は公務員で役所だったが、国家公務員であるので今どこの役所で働いていた、どこに住んでいるのか?私は知らなかった

代表のような番号に電話して、事情をざっぱくらんにしゃべったが「元妻」という立場では、電話を受けた側もどうしたらいいのかわからないらしい。

「上司と相談して折り返します」と言われ切れた。待っていたが、折り返してこない。私はため息をついた。警察へ相談?別れた夫のことで?バカげている。

それでも、娘のことが気になった。私たちが離婚した時、娘は小学校にあがる一年前だった。私の両親は現在でも仲がよく、もちろん離婚もしていないので、親とはそういう存在だと思い込んでいた。それが私自身が離婚してしまったことで、子供の心にどんな傷をつけたのか、考えるだに罪悪感がひどいので、考えないことにしてきた。離婚したのは夫の浮気が原因だというのに、親権がとれないのはどういうこと?と母に言われたが、私が自活していくには経済的に不安定であることが決定材料になった。夫の方が上手だった。私は弁護士すら入れていなかった。「どうしても娘の親権は母親の私のものにする」という気迫もなかった。しかし、夫がそれだけ娘を手元に置きたがったのも、意外と言えば意外だった。

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