第17話

毎日、別に大したこともないまま過ぎていったが、水面下では自分をどこかに押し流そうとする不穏な何かを感じ取っていた。それが何かはわからないが、少なくとも現在、私がいやおうなく巻き込まれていることは、自分と自分の生活を変えてしまうくらいの力を持っていた。

私は主治医のツイートを読んではいたが、私は鍵垢で特に発信も発言もしていなかった。でも奇妙なことに主治医は私のことがかなり気に入っている、私に恋愛感情を持ち始めている?と思えるようなツイートが増加していった。彼は、ツイート中に、これは名指しはしていないが私のことかなという患者の例を挙げて、性的な妄想の対象にしていた。唐突な気がしたし、彼は私がずっとツイートを読んでいることをわかっているはずだった。匿名アカウントだったが、彼の受け持ち患者は彼に気づいていない。強気に振舞っていたが、彼は実のところ、身バレをかなり怖れていた…と思う。後になってそう思うようになったのだが、そのプレッシャーがなぜ私に対する好意、それも性的なニュアンスのきつい好意になるのか?さっぱりわからなかった。私は診察室でスマホを突きつけたことを後悔した。転院も考え始めた。

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