第16話
通院し始め半年くらい精神科医から「あなたは発達障害だと思います」と言われた。もしかしたらそういう病名がつくかもしれないと思っていた。治療方針も何も変化するわけではなかった。ある日、突然「発達障害」という障害者の世界が眼前に現れたわけだけど、それが特別なことだという感じはなかった。
自分にとっては、結婚や離婚の方がずっと特別、というか異常なことだった。なぜなら結婚/離婚は、だれか他の人間とつながったり、離れたりすることだからだ。他の人間が自分の生活に入ってくることは脅威だった。
それが、診断名によって、健常者と障害者のふたつの世界の住人になったのだとしても、そこにはだれかとの関わりが生じたわけではなかった。わたししかいなかった。だれかに話すということもなかった。今度、老親に会ったら、そういう人が親戚にいたかどうか、聞いてみようと思った。
福祉制度の利用を主治医が口にしなかったのは、彼が勤務医だからだろう。診察でTwitterの話はしなかった。彼が身バレを気にしているのは明らかだった。過去のツイートで「ばれたらどうしよう」と別のアカウントとやりとりしていた。でも、私以外にだれも気がつかないのが逆に不思議な気がした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます