第14話
少し気になったので私から彼に電話を掛け直した。
しかしエリア圏外になっていて誰も出ない。
なぜエリア圏外になってしまっているのか?数十分前には混線していたとはいえかかってきているのに。急にトンネルにでも入ったの?
彼は何のつもりだったのだろう?
思い早まるな?何を思い早まるというのか。
そもそも電話が混線すること自体、あまりないことだった。あんな風に、やりとり不能に近いくらい、ザーザーという雑音が入るのは初めて経験したことかもしれない。
でも、何か用があったらまた電話をかけてくるだろうと思った。
その翌週はメンクリの日だった。一カ月ぶりに主治医に顔を合わせるという気がしなかった。私は、彼の投稿を毎日読んでいるのだ。彼が第一印象、というか診察室で見る印象とはまったく異なる人物だった。
県立病院の敷地には三つの病棟が建っていたが、その一つは老人棟のようになっていてそこに入院している認知症の老人の面倒を見るのが嫌…という主治医の本音はTwitterの投稿から伝わってきた。彼の悩みは少々ぜいたくな気もした…私も含めて、多くの人間は安い給与で仕事を頑張って続けているのだ。それに比較したら主治医の不満はぜいたくだった。
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