第13話
元夫から再び電話がかかってきたのは翌週だった。私は仕事中で、何気なく電話をとった…と言っても、独り暮らしの私の小さな賃貸マンションへ電話をしてくる人は多くなかった。だから、夫かもという予感はあったがそうだった。
今回は留守電ではなく私が出た。
外からかけているのだろうか?
声が聞き取りにくい。
混線しているようだ。
ザーザーという電話回線の音の向こうで、夫以外の人が複数会話中であるのが聞こえてくる。
混線しているみたいなの、あなた以外の人の会話がさっきから混じって聞こえるんだけど…私はやっとのことでそう言った。
彼は「君からの手紙を読んだ。思い早まるな」と言って切った。
私は受話器を見つめた。
私は元夫に手紙を書いたりしていない。きっと何かの間違いだろう。なぜ夫に手紙を書かなければならないのか。わけがわからない。
なぜそんなことを伝えるためだけに、電話をかけてきたのかもわからない。
夫はそんな人じゃなかった。わけのわからない行為をして、いきなりぷっつんと切れてしまうようなことはなかったはずだ。でも、電話をかけてきたのは、間違いなく元夫だった。
数分間、私は考え続けていたのだろう。どうにも腑に落ちなかった。
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