第6話

 最近は転職サイトもオンラインで登録申し込みができる。女性の転職に強いと謳っているサイトに1社登録してみた。すると転職サイトの担当者を名乗る男性から「面接がしたい」という連絡がきた。Zoomで顔を合わせることになった。Zoomでの面接は10分程度、過去に経験のある仕事や、転職にあたってどういう条件を希望するかなど。弊社の方で紹介可能な案件がありましたら、連絡をします…というあてにならないことを言われて終わった。転職サイトの担当者を名乗る男性だが、別れた夫にどこか似ていた。

 学校を出てから、一般事務やデータ入力といった、PCが操作できればだれでもできる仕事しか経験がなく、その後すぐに翻訳職になったので、その翻訳仕事が稼げなくなった暁に、何をすればいいのか?見当がつかなかった。それでも独り暮らしである以上、月々の支払いは待ったなしでやってくる。転職サイトを見ていても、以前には気にならなかった年齢制限が妙に目に入ってくる。

 私はため息をついた。本気で転職しようなんて考えていないのだ、自分は。転職できたらいいなという甘っちょろい気持ちでは、この年齢では難しいだろう。でも自分に正社員ができるような気がしなかった。

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