部内戦
高校の硬式テニス部は、夏が早い。
イケメン先輩もとい部長もとい
弱い
先輩たちに色々と教わり、チームにも、先輩・同期の名前呼びにも馴染んだ頃、すでに地区大会は終わっていた。
ぶっちぎりの優勝だったので、スポーツ強豪校は伊達じゃないな、と試合を見ながら思った記憶がある。
「じゃ、部内戦をしたいと思いまーす。県大会出るメンバーは本番だと思って気を引き締めること、出ない奴もレギュラーメンバーを倒すつもりで戦ってくれー」
県大会が始まる2周間前、優大先輩が部員全員を集めてこう言った。
「あ、そうそう。
先輩はそう付け加え、僕達、正確には糸さんを見る。視線に気付いたのか、糸さんはビクリ、と体を揺らした。
「トーナメントは作ってきてるから、明日開催します。各自、準備しておけよ。じゃ、解散」
「「「「(お疲れ)サマシタァッ!!!!!」」」」
終礼の恒例の挨拶で、その場は解散となった。
「うっわー、部内戦参加することになっちゃった。
帰り道、糸さんが焦ったように僕に訊ねる。
「全力で戦えば良いんじゃない?僕が言えるのそれしかないよ」
僕はプレイヤーじゃなくマネージャーとして
「……そっか」
糸さんは顎に手を当て、考え込むような仕草をする。
そして、次の瞬間、パッと顔を上げたかと思うと、
「うん、そうだね!明日は全力で戦う。純くん、ありがとう」
と言って、目を輝かせた。
…明日が楽しみだなぁ。
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