新入部員紹介

 入学して2週間。

 「…大体部員の数が落ち着いてきたから、改めて自己紹介をするか」

 イケメン先輩もとい部長が僕達を集めて言う。

 「は〜い」

 藍染あいぞめさんを筆頭に、僕達新入部員と先輩方が明るく返事をして練習をめる。すぐにボールを片付け、学年順に3列に並んだ。

 「じゃあ俺から。3年5組、青島あおしま 優大ゆうだい。もう知ってる人もいると思うが、この部活の部長をやらしてもらっている」

 「はい、じゃあ次ね。3年2組、雪下ゆきした 燈示とうじ。キャプテン任されてまーす」

 「オレは ________ 」

 そんな感じでどんどん先輩たちの自己紹介が続いていく。3年の先輩が終わり、2年生へ。2年生から、1年生へ。

 僕と藍染さんはマネージャーなので、最後に順番が回ってきた。厳密に言うと、藍染さんはプレイヤーも兼ねている。

 「ぼ、僕は神尾かみお 純一じゅんいちです。マネージャーとして入部しました、よろしくおねがいします」

 …何回やっても、自己紹介は緊張する。変なことを言わずに済んだので、良かった。

 最後に、藍染さんの順番が回ってくる。

 「1年1組、藍染あいぞめ いとでっす。部長に話は通していますが、プレイヤーとマネージャーを兼ねています。よろしくおねがいします!」


 シン、と静寂が訪れる。

 「…ねえ神尾くん、私変なこと言ったかな」

 場の空気に耐えられなかったのか、藍染さんが小声で僕に尋ねた。

 「…いや、少なくとも僕よりは言ってないよ」

 僕も小声で返すと、藍染さんはホッとしたように息を吐いた。


 「女子だ」

 誰かが呟く。

 「女子のマネージャーが、とうとう俺たちの部活に入ってくれたんだ!」

 その声を皮切りに、場が盛大に盛り上がった。

 えっ、何何何!怖い怖い!藍染さんはそう言って、僕の背後にさり気なく身を隠す。かわいい。

 「お前ら、落ち着け」

 パン。

 部長が手を叩き、その場が落ち着く。

 「…あー、その、何だ。皆、仲良くな」

 そして、僕達は通常の部活に戻っていった。

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