仕事内容
見学した次の日の朝に入部届を出し、
「うちのクラスは早い奴が多いな。
と笑われながら言われた。それに、頑張れよ、とも。
「おはよ、神尾くん。昨日は本当にありがと__」
「おはよう、藍染さん。さっき入部届出したよ」
「え、ホント!?やった!」
教室に入ってきた藍染さんに挨拶を返しつつ、硬式テニス部に入学した旨を伝える。藍染さんは笑顔になり、僕の手を取って、その場で飛び跳ねた。かわいい。
「やった、やった!神尾くん、よろしくね!…放課後が楽しみだね!」
その日、藍染さんはずっと興奮が冷めない様子で、何処かソワソワしていた。ジェニー先生に
「Oh,
とウィンク付きで言われるぐらいだ。
そして放課後。
僕は、正式な部員としてテニスコートへと足を踏み入れた。
「先生から聞いたよ。入ってくれてありがとう、神尾くん」
「はっ、はい。よろしくおねがいします」
テニスコートに着くと、昨日のイケメン先輩が居た。
「神尾くん、はマネージャーをやってくれるんだよね。今日からよろしく」
「じゃ、センパイ。後は私がやりますね」
お願いします、藍染さん。イケメン先輩はそう言って、練習に戻っていった。
「明日から動きやすい服装で来てね。制服汚れちゃうから」
「うん」
藍染さんはじゃあコッチ来て、と言って、コートの奥へと僕を案内した。
「今からマネージャーの仕事内容について教えるね」
そう言って最初に教えてもらったのは、スポーツドリンクの作り方。
水とスポドリの粉はだいたい半分。間違えたら、バリ薄なドリンクもしくはバリ濃ゆなドリンクが出来上がるそうだ。
「こないだもちょっと分量間違えて、センパイ達が
いやーやらかしちゃったよね、完璧に。藍染さんはてへ、とわざとらしく笑いながら言った。あざといな。
次に教わったのは、応急処置の仕方。と言っても、専門家というわけではないので、なんちゃって応急処置だ。藍染さん曰く、
「詳しいやり方は自分で調べて、覚えるしかないよね」
だそうだ。家帰ってから調べよう。
他にも、コート整備の仕方や部室整理の仕方も教わった。途中でマネージャーの仕事じゃなく、雑用の仕事みたくなっている気がしたが、笑顔の藍染さんに何も言えなかった。
そして、最後に。
「熱中症と、脱水症になった人の応急処置ね。この2つ、特に脱水症はどの季節、エブリタイム起こるから、真面目な内容。何なら下手したら死者出るから」
この時教わったことを、後に実践することになるなんて思いもしなかった。
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