静かな図書館のビッチな司書さん。 前編


流れる時間が静寂で、まるでこの空間だけがゆっくりと現世から離されているのでは無いかと錯覚するほど落ち着いた雰囲気がそこにはあった。


ここは市が運営するどこにでもある図書館だ、寂れて利用する人など高齢の老人くらいだろう。

 そんな所を、これ幸いと勉強の場所に選んだのは賢い選択だったと言えるだろう、館内を控えめすぎるBGMがゆったりと流れているが、本を捲る音やペンをノートに走らせる音の方が大きく聞こえてくる。


今年に受験を控えている私にとっては、静かに1人で集中できる場所というのはとてもありがたいものだった。


「失礼します、今日も勉強お疲れ様です。よかったらどうぞ」


大きめの紙コップから甘い柑橘系の香りが漂ってくる、オレンジジュースだろうか。

 図書館での飲食は厳禁だが、私が居るのは自習室とよばれる所で、図書館でも例外的に飲み物だけは飲んでよいと認められている場所だった。


「ぁ、りがとうございます」

「いえいえ、勉強頑張ってください」


向き合っていたノートから顔を上げジュースを差し入れてくれた人物へと向き直す。

 黒髪の男性が優しい笑顔でこちらを見つめている。 私は何故がとても恥ずかしくなって消え入りそうな声でお礼を伝えるが、静かな館内ではハッキリと聞こえたようで、笑顔のまま言葉を返して去っていく。


これは唯一の誤算、こんな寂れた図書館にあんなに綺麗な男性司書さんがいるなんて聞いていない。

 貰ったジュースを口に含みながら後ろ姿の彼を追う、サラサラの黒髪にスラリと伸びた手足、特に手は色白で指が長く美しかった。


本を整理する手を思わず目が追ってしまう。


「エッチだ。」


思っていたことが口から溢れる、幸いにもここには私しかいないので誰にも聞かれた心配は無さそうだったが、気おつけるに越したことは無い。


すぐに勉強の続きに取り掛かるべきなのは自分でもわかっているのだが、視界に映る司書さんへと集中してしまって勉強が手につかない。

 その視線に気付いたように司書さんがこちらへと手を振ってくれるのだが、恥ずかしくてすぐにノートへと視線を落として精一杯の照れ隠しを行うのだった。


あの手で頭を撫でられたら気持ちいいだろう、見つめ合ってベッドへと押し倒し、そのまま舌を絡ませるようにキスをして、丁寧に服を脱がす。

 彼の薄い胸板から浮き出る2つの蕾を愛撫しながら高め合い、その最中に彼の長い指が私の秘部へ侵入して、その指で奥をノックされたら。


考えるだけで下着に不快なシミが出来るのがわかる。


「ダメだ、集中できん」


こうしていつも全く集中できないままその日の勉強は終わるのだ。


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続きは明日20時です。

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