CAはセクハラやナンパの温床 後編


「お2人とも何か飲まれますか?」


ここはフライト中のコックピットだ、彼は優しい笑顔で機長と副機長に話しかける。


「じゃあ、水を貰おうかな」


「私も水を」


この世界は機長も副機長も当然女性であり、機長は30代半ば、副機長は20代後半といった年齢だろうか、2人とも細身で、そこらのタレントより美人といえる顔をしている。

安定飛行に入った飛行機はオートパイロットで進むので、2人とも操縦桿には触っていない、時折り高度計や速度計を確認する程度だ。


「はい、水ですよ」


ありがとうと言って機長が水の入ったコップを受け取る。


「そうだ、この前フライトで行った国で良いチョコレートを買ったんだよ、良かったら食べて」


機長のカバンの中から高そうなチョコレートの箱が出てきた、それは世界的に有名なブランドのチョコで恐らく現地でしか買えないモノなのだろう。

機長がニコニコして手招きしてくる。


「わー、いいんですか」


「もちろん、チョコ好きだって聞いていたからね」


笑顔で話す機長、正直凄くチョコレートが好きかと言われるとそうでもないのだが、大袈裟にリアクションして機長の機嫌を取っておくことにする。


「ほら、ここに座って食べなさい」


そう言って膝をポンポンと叩きながら言う、機長が彼に対してお土産を振る舞い気を引こうとしてくる。露骨にセクハラをしてくるのも良くある事だった。


「オートパイロットだからね、気にしなくていいよ」


気にしているのはそこでは無い、ここで断るのは簡単なのだが、それをすると次回以降のフライトを外される可能性があるのだ、パイロットの権限が強い航空業界では良くある話だ。

多少良いだろう減るものでも無いし、諦めて座ることにする。


「では、失礼します…」


今だにこういう直接的なセクハラは苦手だった、彼は言われるがまま機長の太腿に腰を下ろす。


「軽いわね、ちゃんと食べてるの? ほら、もっと深く座って」


グイッ、とお腹に手を回され、引き寄せられる、機長の柔らかい胸が背中に当たる感触が伝わってくるが気にしない。


チョコレートの箱を預かって1つ口へ入れる、そのチョコを口内でゆっくりと溶かして食べる、濃密な甘さとチョコの風味が口の中いっぱいへ広がる。かなり美味しい。


「美味しい?」


「はい、とても」


機長は「良かった」と一言言うとお腹に回した手で腹部を撫でてくる、あまり良い気分では無い。

隣の副機長に目を向けるが、彼の撫でられている下半身をジッと見つめているだけで助けようともしてくれない。


「帰りのフライトも一緒だから、戻ったら私の家に来てよ、有名な良いワインがあるの」


「あっ、いえ、それは…」


流石に驚いて言葉に詰まってしまう、どうやって断ろうか、流石に家は避けなければならないと本能が告げている。


「大丈夫だよ、ただお酒を楽しむだけだから、ね」


耳にかかる吐息が熱っぽく艶がある。

腹部を撫で回している手もキワドイ部分に触れるようになっていた。

明らかに誘われている。


「あの、えっと…」


「フライトから降ろされたくはないでしょう?」


「っ…… はぃ」


「じゃあ、今夜ね」


耳にかかる吐息に背中がぞわぞわとする。

強引に家へと誘われ、半強制的に同意させられてしまった。


この後、乗客へのドリンクサービスの為にコックピットを後にする、出ていく彼を機長は和かに見送った。


恐らくただ呑んで終わるわけは無いだろう、その先のことも誘われる。色々な手で自分を籠絡してくるのだろうことを考えて、彼は、大きな不安と、ほんの少しの”期待”が胸を過ぎるのだった。


______________________________________


実際にCAさんのセクハラって8割強の人が体験したことあるらしいですね。


皆さんの反応を見ながらキワドイ描写があった方が良いのかどうなのか判断していきたいですね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る