第12話 侵入者 ー 悪名高き極悪ゴブリンギルド④


 草原に倒れる大量のゴブリン。

倒れたゴブリン達がシューッと塵となって消えていく。

立っているのは炎に包まれ、赤く燃える神器を手に持つガイとマシンゴブリンのみ。



「全員やられちまったなぁ」



 危機的状況であるというのに、マシンゴブリンは余裕の表情を浮かべている。

そして神器である剣を一点に見つめている。



「お前の神器、喉から手が出る程欲しい、欲しいなぁ!くれねぇかぁ?」



 恍惚とした表情を浮かべるマシンゴブリン。

その姿からは一種の狂気を感じる。


 ガイがマシンゴブリンに斬りかかる。

そんなガイの剣はバチバチと音を鳴らし、稲妻を纏っていた。


 ガンッ!と剣と斧がぶつかる。

同時にマシンゴブリンの斧からも電流が流れる。


 電流と電流、互いが拮抗し合う。

しかし、斧ごときが神器に敵うわけがなかった。

ガイの電気が上回り、マシンゴブリンの体を襲う。



「お前の帯電斧の攻撃、使わせてもらうぜ?」



 マシンゴブリンは体が痺れて動かない。

完全にさっきとは真逆の状況だ。


 ガイはマシンゴブリンの首を刎ねようとしている。

首を刎ねる、それはどんな生物であっても絶命する最凶の一撃。


 ガイの剣は既にマシンゴブリンの首元まで迫っていた。

神器の稲妻で体が痺れて動けないマシンゴブリンに避ける術などなかった。


 神器である剣が首を裂き、肉を通過していく。

ガイはマシンゴブリンの首を刎ねた。

音もせず高速で斬られた首は体から離れ、地へ落ちていく。

あっけない最後であった。


 しかし、ガイは気味の悪いことに気づいた。

落ちていく首だけのマシンゴブリンの顔が笑っていたのだ。


 ボトッ、と草原にマシンゴブリンの首が落ちる。

同時に首がなくなった巨体も崩れ落ちて行った。

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