最終章 永遠に
第25話 勝負 メイ編
「さて、あの二人も始めたことだしこっちも始めようか」
と軽く準備体操をしながらメイは言う。
「そうですね。さっさと終わらしてマスターの手伝いに行きませんと」
とほほ笑む。
「大丈夫、君みたいなのが手伝ってもアリアンテ君には勝てないから」
「ふふふ」
「あはは」
少しの静寂。そして、
「ッ‼」
先に動いたのはメイ。一気にウサギへの距離を詰める。そして、相手に蹴りを…。
「早いですね。ですが…」
放ったが空をきる。そして、メイの後ろから声がする。
「移動系の加護…距離が…あれ?君さ『空間転移』だよね?」
「えぇ。よくわかりましたね。流石は生徒会長」
「でも君の加護って頑張っても3メートルぐらいしか移動出来なかったって記憶してるんだけど違うかな?」
「マスターから力を与えてもらうまでは私もそうでした。しかし、今は違います。今では距離制限が無くなりました」
そして、自慢げにナイフを取り出した。
「これを貴方のお腹の中に入れる事も…」
とナイフをちらつかせる。
「あぁ、それは大丈夫。対策済みだから」
とケロリとした風に言うメイ。
「えっ?」
「君の加護は空中のものには何も出来ないでしょ」
「…」
「だからさ、僕はこうやって出来るんだ」
と笑うとメイの体が宙に浮く。正確には…
「『神の手』…‼」
「正解。いや、最近まで私もこんな使い方思い付かなかったんだよね。これも彼のおかげだね」
「しかし、どうでしょう。貴方はそこから移動出来ない。そんなので私の『空間転移』攻略したと言えるのですか?」
「言えるよ。分からないよね、君程度じゃ。うんうん。じゃあ、見せてあげるよ。あの頃よりも早くなった。僕のスピードを」
そして、メイの態勢が変わり姿が一瞬で消える。
「ッ‼何処に‼」
「こっちだよ」
とラビットの後ろから声が聞こえる。
「クッソ‼」
と声がした方とは反対側に『空間移動』する。がしかし
「残念、それは読んでるよ」
と後ろから蹴りが入る。
「カハッ‼」
肺の空気が一気に抜ける。
「いやー、良いよね。自分の欲しい場所に足場を出せて、ついでに加速も出来る」
原理としては『神の手』に垂直スタートを切るとき更に『神の手』に投げてもらってる。
「さぁ。もっと行くよ」
そして、ウサギの女に蹴り殴りの雨を浴びせる。
「ぐっ。…くっ‼」
この瞬間。彼女の脳にある思い出がフラシュバックする。
「そんな目で……見るな」
それは、まだ彼女が弱かった頃の記憶
「そんな目で私を見るな‼」
空中に無数のナイフが設置される。
「わお。少しやばいね」
しかし、メイはそれに対応して見せる。
「空中設置が出来るようになったんだね。だけど精度が甘々だよ」
とウサギの女の顔に蹴りを打ち込む。仮面が粉々に砕ける。
「さて、どうかな僕の蹴りは?ウサギの…いや、サキさん」
とメイは加速をやめ、停止する。
「なんで、なんでこんな…」
彼女のトラウマが更に鮮明に蘇る。それは、弱い加護を持った事による暴力に罵倒の数々。しかし、そんな彼女には光があった。弱い自分を強くしてくれたマスター。
「そうだ…。あの方の為に…」
彼の為に自分の命を捧げる覚悟はできている。救われたこの命を捧げる覚悟ぐらいは。
「こんな所でお前になんか負けられない」
ふらふらと立ち上がるサキ
「はぁ、そんな目で睨まないでよ。こっちが悪者みたいじゃん」
呆れるメイ
「うるさい‼お前に何が…」
「言っておくけど君の虐めが無くなったのはアイツのおかげじゃなくて僕だからね?」
実際サキの虐めを止め無くさせたのはメイである。サキが尊敬している男はサキが病んでいる時に話しかけただけ。実際は何もしてない。
しかし、サキからすれば誰が救ってくれたかなんてどうでもいい。サキは自分が病んでいる時に手を差し伸べてくれた彼に惚れたのだから。
だから、彼女は立ち上がる。何度メイに叩きのめされようと。
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