第21話 問題①
「なぁ、メイ」
「なんだい?」
「この国はどうしてこんな風になってしまったんだ?」
「さぁ?」
食堂に行くと人族だからと追い出され別の食堂に入れたとしても周りのエルフ族からゴミを見るかのような目で見られる。まるで、人間を軽蔑…もしくは、嫌っているとしか思えない。すると、
「もしかしたら、王女様が原因かも」
とメイが言い出した。
「王女?」
「そう、大体100年くらいこの国を治めてる サエストス女王」
メイによるサエストス女王とは
それよりも昔にその国を治めていた人の王を殺し新たな王になり替わった女性。普通は他の種族から反感出るだろうが、その圧倒的な魔法でこの街を恐怖で縛り付けたそうだ。他の国で反発があったが、結局は武力で制圧されたようだ。
「王女様の魔法は『隕石』だとか『雷』だとか言われてるみたいだね」
「なるほど、大体理解した」
つまり、恐らく人間嫌いである女王のせいで吾輩たちはこの街で満足できる旅行が出来ないという事か。
「よし、女王を殺しに行くか」
「無理に決まってんじゃん、流石に君が行ってもどうにもならないよ」
「冗談だよ。そもそも、女王が原因かどうかなんてまだわから…」
分からないだろうと言おうとした時
[女王を殺せ!あの憎き女王を‼]
と旗を持ったデモ部隊が横を通った。
「確定したな」
「…みたいだね」
吾輩もメイは同時に溜息をついた。なんと言うか呆れるというか。
とその時、デモ隊の一人が叫んだ。
[女王の魔法が来るぞ‼]
男が指をお城の方に向ける。お城には大きな大砲が一つ、そして大砲に紫色のエネルギーがチャージされていく
[『マジックミラー』‼]
男の一人が壁を展開した。そこまで見たところで
「アリアンテ君何か嫌な予感がする」
と体を震わしている。確かにあの大砲からは何か嫌なものを感じる。もう少し離れ…ようとしたがもう既に遅かった。
世界から一瞬音が消え視界が真っ白になった
辺り一帯は吹き飛びデモ隊の声も、もう聞こえない。吾輩も肉が焼け骨も少し溶けている。そして、メイは。
「プハッ。もう何をするんだよ」
吾輩の後ろで毛布から顔を可愛らしく出したのだった。これは、吾輩が咄嗟に無限ポーチから出した一瞬だけものを別世界に送れる毛布だ、壊すことが出来ないが別世界に送り、次に物取り出した時、灰になるといった代物だ。
「ていうか、君。それは生きているのかい?」
「半分くらい死んでる」
だがしかし、結局一瞬で再生する。そして、無限ポーチの中から服を取り出し着替えた。
「それにしても凄い威力だな」
「君的にはあれは何の魔法に入ると思う?」
「『雷』…電気系統だな」
その根拠として一つ目は速さ。『マジックミラー』とやらが割れる音が聞こえなければ吾輩は発射されたことにさえ気が付かなかった。
そして次は熱。周りの建物の溶け方が火に比べて綺麗に溶けていることだ。それと当たった時少し痺れた。
「やっぱり、『雷』なのかな」
うーん、と頭を悩ますメイ。
「考えるなら、一度宿に戻ろう。こんなところで立って考えたくないからな」
「うん。そうだね」
と吾輩たちは宿に戻っていったのだった。
一方 城では
「何?わらわの『電光砲』に耐えた人間がいるだと」
「はい、偵察隊によれば二名程生存者がいたとの事」
「そうか。ならば、そやつらを連れてまいれ。今すぐにだ」
「はっ‼」
と何やら大騒ぎになっているのだった。
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